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君を追いかける

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(畜生、美鈴の奴、一体どこに…)



 放課後の校内で、俺は息を弾ませていた。
 同じクラスの川瀬美鈴に告ったのは三日前。
バレンタインデーが控えているこの時期に告るのはいまいちだったかもしれないが、今年は絶対に告るって決めてたし、その気持ちが固まったのが三日前だったんだからしょうがない。



でも、もしも、美鈴が良い返事をくれたら…
バレンタインデーにはきっとチョコがもらえるし、ラブラブな一日が過ごせるはずだ。
だから、そう悪いタイミングでもないかもしれない。



そして、今日…
俺は放課後、美鈴に呼び出され…ついに返事がもらえるんだってドキドキしてたら…



「ねぇ、鬼ごっこしない?」

 「え?」

 「深山君が私を捕まえられたら、付き合ってあげる。」

 「えーっ!?マ、マジ?」

 「じゃあ、行くよ!」

 「え?ちょ…ちょっと…」



 驚きが大きくて出遅れてしまったけれど、俺はそれなりに足は速い。
 捕まえることはそう難しくはないと思えた。



 俺は、彼女の後を追って走った。
ところが、美鈴は足が速いだけじゃなく、小回りも効いて…
しばらく追いかけたが、彼女の姿を見失ってしまった。
これじゃあ、鬼ごっこじゃなくてかくれんぼだ。



どこだ!?美鈴…どこにいる?
 俺は、学校の中をただひたすら走り続けた。
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