80 / 364
しくじり
1
しおりを挟む
「もしもし…便利屋さんですか?」
3日の昼過ぎに依頼の電話が入った。
岡垣という男性からで、かすれた小さな声からは年齢も良くわからなかった。
なんでも、風邪を引いてしまい高熱が出ていてとても買い物にも行ける状態ではないから、必要なものを買ってきてほしいと、そういうことだった。
(たばこって……)
言われた買い物リストにあった『たばこ』に俺は違和感を感じた。
風邪だというのに、なぜたばこなんか…
あ、そういえば、銘柄を聞いていなかった。
それを訊ねようと折り返し電話をかけたが、岡垣は電話に出なかった。
仕方がないので、最もポピュラーだと思われる銘柄のたばこを買い、俺は岡垣の家に向かった。
「どうもありがとうございます。」
出迎えてくれた岡垣は、やつれて憔悴しきった顔をしていた。
「えっと、これがレシートです。」
「はい。」
俺は金を受け取り、頼まれていた品物を手渡した。
「あ、あの…すみませんが、おむすびとゆでたまごを作ってもらえませんか?
昨日から何も食べてなくて…あ、もちろん、その分のお金も支払います。」
「いいですよ、そのくらい。」
俺は、岡垣の家にあがり、台所に入った。
おむすびを握らされるとは思ってなかったが、そのくらいは俺にも出来るはずだ。
炊飯器には少し黄色くなったごはんが入っていた。
見渡したところ、海苔もなさそうだが、塩むすびで良いんだろうか?
何か具になるものはないかと冷蔵庫を開けると、そこにはほとんど食べるものはなく、たまごもなかった。
「あの、岡垣さん…たまごは…?」
「さっき、お願いしたはずですが…」
「え?」
いや、頼まれた買い物にはたまごなんて…
(あ……)
その時になって、俺はようやく気付いた。
岡垣が言ったのは、『たばこ』ではなく『たまご』だったのだと。
「あ、すみません!買い忘れてました。
今から買いに行って来ます!」
俺は、焦ってその場から駆け出した。
3日の昼過ぎに依頼の電話が入った。
岡垣という男性からで、かすれた小さな声からは年齢も良くわからなかった。
なんでも、風邪を引いてしまい高熱が出ていてとても買い物にも行ける状態ではないから、必要なものを買ってきてほしいと、そういうことだった。
(たばこって……)
言われた買い物リストにあった『たばこ』に俺は違和感を感じた。
風邪だというのに、なぜたばこなんか…
あ、そういえば、銘柄を聞いていなかった。
それを訊ねようと折り返し電話をかけたが、岡垣は電話に出なかった。
仕方がないので、最もポピュラーだと思われる銘柄のたばこを買い、俺は岡垣の家に向かった。
「どうもありがとうございます。」
出迎えてくれた岡垣は、やつれて憔悴しきった顔をしていた。
「えっと、これがレシートです。」
「はい。」
俺は金を受け取り、頼まれていた品物を手渡した。
「あ、あの…すみませんが、おむすびとゆでたまごを作ってもらえませんか?
昨日から何も食べてなくて…あ、もちろん、その分のお金も支払います。」
「いいですよ、そのくらい。」
俺は、岡垣の家にあがり、台所に入った。
おむすびを握らされるとは思ってなかったが、そのくらいは俺にも出来るはずだ。
炊飯器には少し黄色くなったごはんが入っていた。
見渡したところ、海苔もなさそうだが、塩むすびで良いんだろうか?
何か具になるものはないかと冷蔵庫を開けると、そこにはほとんど食べるものはなく、たまごもなかった。
「あの、岡垣さん…たまごは…?」
「さっき、お願いしたはずですが…」
「え?」
いや、頼まれた買い物にはたまごなんて…
(あ……)
その時になって、俺はようやく気付いた。
岡垣が言ったのは、『たばこ』ではなく『たまご』だったのだと。
「あ、すみません!買い忘れてました。
今から買いに行って来ます!」
俺は、焦ってその場から駆け出した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」
久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる