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イヴの日に…
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(私って、馬鹿みたい…)
自分自身の馬鹿さ加減に腹が立って仕方なかった。
だけど、好きな気持ちは止められない。
あの日…粉雪の降るイヴの日から、彼のことが忘れられなくなった。
どうしてあの時、連絡先を訊かなかったんだろう?
いや…訊いても無駄だったかもしれない。
彼は、あの瞬間を一人で過ごしたくなかっただけ。
私のことなんて、なんとも思っていない。
だからこそ、連絡先を訊かなかったんだ。
そんなことはわかってるのに、私は、次の年のイヴ…あの場所に向かった。
彼に会えるのではないかという淡い期待は、すぐに弾け飛んだけど…
彼は、東京住まいだと言っていた。
それが本当だったら、そんなところに来るはずがない。
そもそも、そんな話も本当かどうかわからないのだ。
もしかしたら、あんな話は全部嘘で、彼には愛する妻や子供だっているかもしれない。
そんな想像をしながらも、私はまた次の年のイヴに同じ行動をした。
そしてまた次の年も、そのまた次の年も…
愚かな自分自身に呆れ果てた。
あまりにも馬鹿だ…
5年もこんな馬鹿なことを繰り返してしまった。
さすがにもう諦めよう。
彼に会える可能性なんて、ないに等しいんだから。
(あ……)
帰ろうと思った時…鉛色の空から降りだしたのは、雨ではなく雪だった。
それを見たら、5年前のことがより鮮明に思い出された。
そう…あの時、美香から行けないっていう電話があって…
やりきれない気分で電話を切ったら…
「あ、あの……」
振り向いた先に立っていたのは、彼だった。
人懐っこい笑顔を浮かべて…
(え?)
私は瞬間的にパニックに陥った。
えっと…これは…夢?
「まさか、会えるとは思わなかった…」
「え…?えっと……」
「……そうですよね。覚えてないですよね、5年も前のことなんて。」
私は、首を振った。
そうじゃない。
あなたのことは、一時も忘れたことがない。
今、私が戸惑っているのは…
「良かったら…今日、一緒に過ごしてもらえませんか?」
「え?あ、あの…」
「先約がありますか?」
「い、いえ…」
5年前とは違うレストランで、私たちはいろいろなことを話した。
彼は言った。
待ち合わせをした相手が彼氏だと思ってたから、名前も連絡先も訊ねなかったのだと。
「本当はすぐにでも来たかったんですが、なかなか休みが取れなくて…
それに、まさか会えるなんて思ってなかったんです。」
「そ、そうですよね。」
「今日はどうしてあそこへ?」
ちょっと迷ったけれど、私は正直に答えた。
「私…あの日からあなたのことが忘れられなくて…
もしかしたら、イヴにあそこに行ったら、また会えるんじゃないかと思って…それで、毎年あそこに行ってたんです。今年で5回目です…」
「え……」
彼は、私の言葉に固まった。
引いてしまったんだろうか?痛い女だって思われたかな。
「……あの…名前も知らないのに、こんなことを言って良いのかどうかわかりませんが…
良かったら、僕と付き合って下さい。
僕も、ずっとあなたのことが忘れられなかった…」
私の答えは『YES』に決まっている。
レストランを出たら、あたりは白に覆われていた。
「これからは、イヴ以外にも会えますよね?」
「ええ、もちろんです。」
降り積もった雪を踏みしめながら、私たちは歩く…
この奇跡的な再会は、雪の精からの贈り物…そんなファンタジックな妄想に浮かれながら…
自分自身の馬鹿さ加減に腹が立って仕方なかった。
だけど、好きな気持ちは止められない。
あの日…粉雪の降るイヴの日から、彼のことが忘れられなくなった。
どうしてあの時、連絡先を訊かなかったんだろう?
いや…訊いても無駄だったかもしれない。
彼は、あの瞬間を一人で過ごしたくなかっただけ。
私のことなんて、なんとも思っていない。
だからこそ、連絡先を訊かなかったんだ。
そんなことはわかってるのに、私は、次の年のイヴ…あの場所に向かった。
彼に会えるのではないかという淡い期待は、すぐに弾け飛んだけど…
彼は、東京住まいだと言っていた。
それが本当だったら、そんなところに来るはずがない。
そもそも、そんな話も本当かどうかわからないのだ。
もしかしたら、あんな話は全部嘘で、彼には愛する妻や子供だっているかもしれない。
そんな想像をしながらも、私はまた次の年のイヴに同じ行動をした。
そしてまた次の年も、そのまた次の年も…
愚かな自分自身に呆れ果てた。
あまりにも馬鹿だ…
5年もこんな馬鹿なことを繰り返してしまった。
さすがにもう諦めよう。
彼に会える可能性なんて、ないに等しいんだから。
(あ……)
帰ろうと思った時…鉛色の空から降りだしたのは、雨ではなく雪だった。
それを見たら、5年前のことがより鮮明に思い出された。
そう…あの時、美香から行けないっていう電話があって…
やりきれない気分で電話を切ったら…
「あ、あの……」
振り向いた先に立っていたのは、彼だった。
人懐っこい笑顔を浮かべて…
(え?)
私は瞬間的にパニックに陥った。
えっと…これは…夢?
「まさか、会えるとは思わなかった…」
「え…?えっと……」
「……そうですよね。覚えてないですよね、5年も前のことなんて。」
私は、首を振った。
そうじゃない。
あなたのことは、一時も忘れたことがない。
今、私が戸惑っているのは…
「良かったら…今日、一緒に過ごしてもらえませんか?」
「え?あ、あの…」
「先約がありますか?」
「い、いえ…」
5年前とは違うレストランで、私たちはいろいろなことを話した。
彼は言った。
待ち合わせをした相手が彼氏だと思ってたから、名前も連絡先も訊ねなかったのだと。
「本当はすぐにでも来たかったんですが、なかなか休みが取れなくて…
それに、まさか会えるなんて思ってなかったんです。」
「そ、そうですよね。」
「今日はどうしてあそこへ?」
ちょっと迷ったけれど、私は正直に答えた。
「私…あの日からあなたのことが忘れられなくて…
もしかしたら、イヴにあそこに行ったら、また会えるんじゃないかと思って…それで、毎年あそこに行ってたんです。今年で5回目です…」
「え……」
彼は、私の言葉に固まった。
引いてしまったんだろうか?痛い女だって思われたかな。
「……あの…名前も知らないのに、こんなことを言って良いのかどうかわかりませんが…
良かったら、僕と付き合って下さい。
僕も、ずっとあなたのことが忘れられなかった…」
私の答えは『YES』に決まっている。
レストランを出たら、あたりは白に覆われていた。
「これからは、イヴ以外にも会えますよね?」
「ええ、もちろんです。」
降り積もった雪を踏みしめながら、私たちは歩く…
この奇跡的な再会は、雪の精からの贈り物…そんなファンタジックな妄想に浮かれながら…
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