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ダメ息子からのプレゼント
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「母さん、悪いけど昼飯作ってよ。」
「まったくもう、今、何時だと思ってんのよ。」
「1時45分…今なら、まぁ、なんとか『昼飯』で良いんじゃない?」
「起きるのが遅すぎるって言ってんの!」
母さんは文句を言いながらも、昼食に取り掛かってくれた。
その間、俺はリビングでテレビを見ながら、その出来上がりを待っていた。
「はい、出来たわよ。」
「おぉ、うまそう!」
母さんは料理がうまい。
だから、外に食べに行く気になれない。
うちのごはんが一番うまいんだから。
「私、これからパートに行くから、もしも雨が降ったら洗濯物入れといてよ。」
「はいはい。」
「はいは一回!」
慌ただしく出掛ける準備をした母は、パートに出掛けて行った。
(あと少しだから、待っててくれよな…)
真面目だけが取り柄の父と、多少口うるさいけど優しい母…
二人は、俺が生まれた頃から、夢のマイホームを建てるため、節約してコツコツとお金を貯めていたらしい。
俺が中学生になり、そろそろ購入を考えていた矢先、父は知人に騙され、貯めたお金を全部失ってしまった。
そのショックはとても大きなもので、一時はもう生きて行くことさえ嫌になったという。
数年が経ち、ふたりはどうにか立ち直ったが、俺が大学に入ったり、父が大きな病気をしたりで、お金は出て行くばかり。
しかも、一人息子の俺は、大学を卒業してもバイトくらいしか行かない。
それは、俺が小説家になるという夢を持ってしまったからだ。
とても許してもらえないと思っていたが、意外にもふたりは俺の夢を応援してくれた。
ただ、俺がその夢を叶えられるとは思っていないようだが…
小説を投稿するようになって、俺は何度かの賞をもらい、今年はついに紙の本を出版することが出来た。
売れ行きは、信じられない程好調だ。
両親にはそんなことはまだ何も言ってない。
だから、きっとものすごくびっくりすると思う。
実は、俺は近々、印税で両親にマイホームをプレゼントするつもりなのだ。
両親の驚く顔を想像すると、自然に顔が綻ぶ。
(母さん、父さん…これからもよろしくな!)
「まったくもう、今、何時だと思ってんのよ。」
「1時45分…今なら、まぁ、なんとか『昼飯』で良いんじゃない?」
「起きるのが遅すぎるって言ってんの!」
母さんは文句を言いながらも、昼食に取り掛かってくれた。
その間、俺はリビングでテレビを見ながら、その出来上がりを待っていた。
「はい、出来たわよ。」
「おぉ、うまそう!」
母さんは料理がうまい。
だから、外に食べに行く気になれない。
うちのごはんが一番うまいんだから。
「私、これからパートに行くから、もしも雨が降ったら洗濯物入れといてよ。」
「はいはい。」
「はいは一回!」
慌ただしく出掛ける準備をした母は、パートに出掛けて行った。
(あと少しだから、待っててくれよな…)
真面目だけが取り柄の父と、多少口うるさいけど優しい母…
二人は、俺が生まれた頃から、夢のマイホームを建てるため、節約してコツコツとお金を貯めていたらしい。
俺が中学生になり、そろそろ購入を考えていた矢先、父は知人に騙され、貯めたお金を全部失ってしまった。
そのショックはとても大きなもので、一時はもう生きて行くことさえ嫌になったという。
数年が経ち、ふたりはどうにか立ち直ったが、俺が大学に入ったり、父が大きな病気をしたりで、お金は出て行くばかり。
しかも、一人息子の俺は、大学を卒業してもバイトくらいしか行かない。
それは、俺が小説家になるという夢を持ってしまったからだ。
とても許してもらえないと思っていたが、意外にもふたりは俺の夢を応援してくれた。
ただ、俺がその夢を叶えられるとは思っていないようだが…
小説を投稿するようになって、俺は何度かの賞をもらい、今年はついに紙の本を出版することが出来た。
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両親にはそんなことはまだ何も言ってない。
だから、きっとものすごくびっくりすると思う。
実は、俺は近々、印税で両親にマイホームをプレゼントするつもりなのだ。
両親の驚く顔を想像すると、自然に顔が綻ぶ。
(母さん、父さん…これからもよろしくな!)
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