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ナポレオンにはなれないけれど
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「まぁ、綺麗!
サファイヤね。」
「うん、そうなんだ。」
涼子は、早速、それを薬指にさして眺める。
「でも、どうしてサファイヤなの?
私の誕生石は真珠だし、好きな石はダイヤなのに…」
「うん、同じ石ばかりっていうのも芸がないかなって思ってね。
たまにはこういう色も良いんじゃないかって…」
「そうね。良いわ。
気に入った。
ありがとう。」
彼女は、どうやら僕の贈ったサファイヤが気に入ったようだ。
(……これで最後だから……)
彼女と知り合ったのは、半年程前のことだった。
友人に誘われて行ったパーティで、彼女と出会った。
彼女は可愛いだけじゃなく、快活で社交的で…
パーティでもたくさんの男性に取り囲まれていた。
ところが、その彼女が僕に話しかけて来て…
帰りには連絡先を交換し、彼女の方から付き合ってほしいと告白された。
僕は、夢心地だった。
彼女みたいに素敵な人と付き合えるなんて、とても信じられない気分だった。
初デートもとても楽しくて、僕は早々と彼女との結婚を夢見た。
だけど、一週間程経った頃、僕は知人から嫌な噂話を聞いた。
彼女が、男と楽しそうに歩いてたというものだ。
僕というものがありながら、そんなこと、あるはずがない。
どうしても気になって、彼女に直接聞いてみたら、それはただ道を訊ねられて連れて行ってあげただけだということがわかった。
僕はほっとして、彼女にはお詫びに真珠のネックレスを贈った。
彼女は目を輝かせて喜んだ。
彼女は宝石が好きみたいだ。
だから、僕は会う度に彼女に宝石をプレゼントした。
僕達はとてもうまくいっていた。
なのに、また別の者から嫌な話を聞いた。
僕は彼女を信じていたけど、そんなことが何度か続き…気になって、興信所に彼女の身辺調査を依頼した。
その結果は、目を覆いたくなるものだった。
彼女は、この数か月間に何人もの男と浮気をしていた。
ショックだった。
だけど、悔しいことに、それでも、彼女のことが嫌いになれなかった。
どうすれば、彼女は浮気をやめてくれるんだろう?
毎日、僕はそのことばかりを考えていた。
そんな時、僕は、たまたまサファイヤの伝説を耳にした。
皇帝ナポレオンが愛した女性、ジョセフィーヌの浮気癖を封じるため、サファイヤを贈ったという話を…
別に、そんなこと、本気で信じてるわけじゃない。
ただ、ナポレオンの真似をしてみただけだ。
僕は、ナポレオンとは比べ物にはならないけれど…
サファイヤね。」
「うん、そうなんだ。」
涼子は、早速、それを薬指にさして眺める。
「でも、どうしてサファイヤなの?
私の誕生石は真珠だし、好きな石はダイヤなのに…」
「うん、同じ石ばかりっていうのも芸がないかなって思ってね。
たまにはこういう色も良いんじゃないかって…」
「そうね。良いわ。
気に入った。
ありがとう。」
彼女は、どうやら僕の贈ったサファイヤが気に入ったようだ。
(……これで最後だから……)
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僕は、夢心地だった。
彼女みたいに素敵な人と付き合えるなんて、とても信じられない気分だった。
初デートもとても楽しくて、僕は早々と彼女との結婚を夢見た。
だけど、一週間程経った頃、僕は知人から嫌な噂話を聞いた。
彼女が、男と楽しそうに歩いてたというものだ。
僕というものがありながら、そんなこと、あるはずがない。
どうしても気になって、彼女に直接聞いてみたら、それはただ道を訊ねられて連れて行ってあげただけだということがわかった。
僕はほっとして、彼女にはお詫びに真珠のネックレスを贈った。
彼女は目を輝かせて喜んだ。
彼女は宝石が好きみたいだ。
だから、僕は会う度に彼女に宝石をプレゼントした。
僕達はとてもうまくいっていた。
なのに、また別の者から嫌な話を聞いた。
僕は彼女を信じていたけど、そんなことが何度か続き…気になって、興信所に彼女の身辺調査を依頼した。
その結果は、目を覆いたくなるものだった。
彼女は、この数か月間に何人もの男と浮気をしていた。
ショックだった。
だけど、悔しいことに、それでも、彼女のことが嫌いになれなかった。
どうすれば、彼女は浮気をやめてくれるんだろう?
毎日、僕はそのことばかりを考えていた。
そんな時、僕は、たまたまサファイヤの伝説を耳にした。
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別に、そんなこと、本気で信じてるわけじゃない。
ただ、ナポレオンの真似をしてみただけだ。
僕は、ナポレオンとは比べ物にはならないけれど…
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