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タイプ

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「あぁ…だめだ。やっぱり、海は夏が一番だね!」

「……そうだね。」

砂浜に座っていた真紀は、おもむろにその場に寝転んだ。



「砂が温かくないね。」

起き上がった真紀の背中は砂だらけだ。
それを見た時、僕の脳裏に過去の記憶がよみがえった。



(里香……)



高1の時から高3まで付き合った彼女だ。
真紀と同じく海が好きで、快活な女の子だった。
付き合い始めた高1の夏も、その次の高2の夏も何度も海に行った。
彼女のセクシーな水着姿に僕はドキドキしてたっていうのに、彼女はそんなことにはまったく気付かないのか、子供みたいにはしゃいでて…
海が好きだっていう割には、彼女は泳ぎはそんなにうまくなくて…
一緒に食べたいちごのかき氷で、口が真っ赤だってふたりで大笑いして…



今日みたいに涼しくなった高2の秋の日に、ふたりで海を見に行って…
里香は砂浜を裸足で駆け、そのうちゴロゴロと砂浜に寝転んで、寂しそうに言ったんだ。
砂がもう温かくないって…
その後は、受験があったこともあるけど、なんとなく僕らは疎遠になって、自然消滅した。



「……何、なに?思い出し笑いなんかして。」

「そうじゃないよ。君の背中が砂だらけだからおかしかっただけ。」

「え?そうなの?」

彼女は、背中に手をまわして砂を払う。
昔の彼女のことを思い出してたなんて言えないから、僕は咄嗟にそんな嘘を吐いた。



(僕の好きなタイプは、昔から変わらないんだな…)



真紀の背中の砂をはらいながら、僕は小さく苦笑した。

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