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二人のパーティ

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「なんか不思議だね…
バイオリンには左利きは関係ないんだね。」

 僕のバイオリンを眺めながら、奈津がしみじみと言う。



 「そういえば、僕がバイオリンを習い始めたのは3歳だったらしいんだけど、その時はもう左利きだったのかなぁ?」

 「覚えてないの?」

 「3歳だよ。そんな昔のこと、覚えてるはずないじゃない。
そんなことより、早く食べようよ。」

 「はいはい。」

 彼女は、台所に入り、かいがいしく動き始める。
その間、僕の役目はせいぜい、テーブルを拭いてホットプレートを出すくらいのものだ。



 「はい、お待たせ。」

ホットプレートがちょうど温まった頃、奈津が材料を持って来た。
 別に関西人ではないのだけれど、僕たちはどちらも粉もんが大好きで、月に一度は家でタコパをする。



 溶いた粉を流し込むと、じゅっととても良い音がする。
そこに天かすや紅ショウガ等、具を入れて…



「今日のタコ、なんかデカいね。」

 「デカいだけじゃないよ。なんと活けダコだったんだから、きっと美味しいよ。」

 他愛ない会話をしながら、僕たちはたこ焼きを焼く。



 「シン君、この頃、返すのがうまくなったね。
たこ焼き屋さんになれるよ。」

 「そう?じゃあ、バイオリニストやめて、たこ焼き屋さんになろうかな。」

そして、たこ焼きは焼き上がり、そこにソースを塗り、カツオの粉と青のりを振りかける。



 「あ、あふ…
でも、うまい!
あぁ、タコ、最高!」

 「本当、タコ、ぷりぷりだね!」

こんなことで、幸せだと感じられるのは、やっぱり奈津がいてくれるおかげかな?
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