上 下
135 / 217
side シュウ

しおりを挟む
「隣の部屋!?
わぁ~、興奮しちゃう~!
シュウ……私、張り切って大きな声出して、ひかりさんを刺激してあげるね!」

 「なんだよ、それ…」

 「……おじいちゃんから聞いたわよ。
ひかりさんとは、あっちの方がうまくいってないんだって?」

ここあちゃんは声を潜め、俺の耳元で囁いた。
それにしても、賢者の奴、余計なことを……
俺が賢者に怒りを募らせていると、ここあちゃんが部屋を出て、俺達の寝室の扉を開いた。



 「ここが、シュウとひかりさんの愛の巣か~…
う~ん…ここもおしゃれだけど、エロさがないっていうか、ムードがないっていうか…
シュウ、もっと雰囲気作りに頑張らなきゃだめじゃない。
そんなんだから、ひかりさんとうまくいかないのよ。」

 「別にそういうわけじゃないんだって。
ただ、ひかりは晩熟だからそういうことがあんまり好きじゃないだけなんだ。」

 「……わぁ~…シュウの言葉とは思えない!
シュウだったら、無理矢理にでも躾けるのかと思ってた。」

そう言いながら、ここあちゃんはカーテンを開け、外の景色を物珍しそうに眺めていた。



 「そんなことしないさ。
ひかりは俺にとって大切な女だから、無理強いはしたくないだけ。
ひかりは自分の人生を投げ捨てて、こっちの世界に来てくれた。
それって、すごいことだと思うんだ。
……だから、ひかりが自然に俺のことを受け入れてくれるまで、いつまでだって俺は待つつもりなんだ。」

 「ふ~ん…
でも、シュウは我慢出来るの?
……もしかしてどこかでつまみ食いとかしてるんじゃないの?」

ここあちゃんは、意味ありげな笑みを浮かべてそう訊ねた。



 「ないない!
 俺、こう見えてけっこう硬派なんだから!」

 「嘘ばっかり~!
シュウ、無理しすぎだってば!
あんまりためこむといつか爆発しちゃうよ。
そうならないためにも、パーティの日、私がうまくやってあげるから頑張るんだぞ!」

 「ここあちゃん……」

 盛りあがるここあちゃんに、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

ぼっち聖騎士(パラディン)は、孤高の赤魔道士と友だちになりたい

椎名 富比路
ファンタジー
英雄に育てられ、聖騎士となった主人公は、故郷を離れ冒険者をしていた。 だが、強すぎるせいで、周囲から恐れられている。 本人は友達がほしいのに、誰もパーティを組んでくれない。 ある日、依頼先で知り合った魔女と親しくなり、パーティを組むことに。 彼女はかつて魔王の側近だったダークエルフで、さる事情から魔王を殺し、魔族から追われる身となっていた。 聖騎士は友だちを、魔女は、亡き友が追い求めた「秘宝」を求め、旅に出る。 聖騎士(パラディン)と赤魔道士、最強の器用貧乏コンビに待つものは? 若干、百合要素あり(親しくする程度)。 コンセプトは 「ひとりぼっちの○○生活 + カンフーヨガ」 第2回ノベプラ大賞 エントリー作品

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

追放された英雄の辺境生活~静かに暮らしたいのに周りが放ってくれない~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
自分の家族と民を守るために、戦い続けて戦争を終わらせた英雄アイク。 しかし、国に戻ると……褒賞として、彼は辺境で領主を命じられる。 そこは廃れた場所で田舎で何もなく、爵位はもらったが実質的に追放のような扱いだった。 彼は絶望するかと思ったが……「まあ、元々頭も良くないし、貴族のあれこれはわからん。とりあえず、田舎でのんびり過ごすかね」と。 しかし、そんな彼を周りが放っておくはずもなく……これは追放された英雄が繰り広げるスローライフ?物語である。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

幼馴染み達がハーレム勇者に行ったが別にどうでもいい

みっちゃん
ファンタジー
アイ「恥ずかしいから家の外では話しかけて来ないで」 サユリ「貴方と話していると、誤解されるからもう2度と近寄らないで」 メグミ「家族とか気持ち悪、あんたとは赤の他人だから、それじゃ」 義理の妹で同い年のアイ 幼馴染みのサユリ 義理の姉のメグミ 彼女達とは仲が良く、小さい頃はよく一緒遊んでいた仲だった… しかし カイト「皆んなおはよう」 勇者でありイケメンでもあるカイトと出会ってから、彼女達は変わってしまった 家でも必要最低限しか話さなくなったアイ 近くにいることさえ拒絶するサユリ 最初から知らなかった事にするメグミ そんな生活のを続けるのが この世界の主人公 エイト そんな生活をしていれば、普通なら心を病むものだが、彼は違った…何故なら ミュウ「おはよう、エイト」 アリアン「おっす!エイト!」 シルフィ「おはようございます、エイト様」 エイト「おはよう、ミュウ、アリアン、シルフィ」 カイトの幼馴染みでカイトが密かに想いを寄せている彼女達と付き合っているからだ 彼女達にカイトについて言っても ミュウ「カイト君?ただ小さい頃から知ってるだけだよ?」 アリアン「ただの知り合い」 シルフィ「お嬢様のストーカー」 エイト「酷い言われ様だな…」 彼女達はカイトの事をなんとも思っていなかった カイト「僕の彼女達を奪いやがって」

処理中です...