45 / 217
side ひかり
1
しおりを挟む
*
「可愛いねぇ…」
私はプランターの花に目を細めた。
「なんだか、この花、ひかりみたいじゃない?」
「えっ!?」
「……バラや百合みたいな華やかさはないけど、可憐で健気で…なんだか守ってあげたいような気持ちになるんだよね。」
「も、もう、雅樹君ったら、何言ってんのよ!」
先日、雅樹君と植えた種の中からいくつかに花が咲いて、そのうちの薄ピンクの花のことを雅樹君は私みたいだなんて言ってくれた。
しかも、守ってあげたいなんて言われたら……きゅんとしてしまうじゃないか~~!
雅樹君と過ごす時間は本当に穏やかで、心の底からリラックス出来る。
それで私は気付いたというのか、あらためて感じたのだけど…
シュウといる時はやっぱり私は自分がシュウに釣り合わないって引け目を感じてるんだな。
だから、知らず知らずのうちに気を張ってるようなところがあったんだと思う。
ただでさえ、私は自分に自信を持ってない。
見た目だってこんなだし、他の人と比べて優れてる所なんて、私には昔から何一つなかった。
学生時代は、今よりずっと太ってたから、コンプレックスはもっと大きかった。
周りの子とは感覚がずれてたから、地味に苛められたっていうのか…
特に酷い何かをされたわけではないからあんなのはいじめには入らないのかもしれないけど、それでも、聞こえよがしにオタクの悪口を言われたことは何度かあったし、仲間はずれもしょっちゅうだった。
でも、私はそんな事全然気にもしてないふりや、一人が好きなふりをしたからか、それ以上エスカレートすることはなかったけど…
それでも、やっぱりだんだんと学校には行きたくなくなって…そのうち家族と話すのもいやになって、気がついたら漫画やゲームをすることだけが楽しみになってた。
だから、私の世界はとっても狭い。
ファッションのことも芸能人のこともおいしいお店のことも男の子のことも、周りの子が普通に知ってることを私は知らずに生きて来た。
それで良いと思ってたけど、シュウと出会って、そうとも言ってられなくなった。
知らない事が恥ずかしい…だからそれがまたコンプレックスになってしまう。
シュウのことが大好きだから、シュウに相応しい相手になりたいって気持ちは大きいのに、どうあがいてもそうなれない。
そのことが自分でももどかしくて辛いから、シュウに優しくされても心の底から喜べない…
「可愛いねぇ…」
私はプランターの花に目を細めた。
「なんだか、この花、ひかりみたいじゃない?」
「えっ!?」
「……バラや百合みたいな華やかさはないけど、可憐で健気で…なんだか守ってあげたいような気持ちになるんだよね。」
「も、もう、雅樹君ったら、何言ってんのよ!」
先日、雅樹君と植えた種の中からいくつかに花が咲いて、そのうちの薄ピンクの花のことを雅樹君は私みたいだなんて言ってくれた。
しかも、守ってあげたいなんて言われたら……きゅんとしてしまうじゃないか~~!
雅樹君と過ごす時間は本当に穏やかで、心の底からリラックス出来る。
それで私は気付いたというのか、あらためて感じたのだけど…
シュウといる時はやっぱり私は自分がシュウに釣り合わないって引け目を感じてるんだな。
だから、知らず知らずのうちに気を張ってるようなところがあったんだと思う。
ただでさえ、私は自分に自信を持ってない。
見た目だってこんなだし、他の人と比べて優れてる所なんて、私には昔から何一つなかった。
学生時代は、今よりずっと太ってたから、コンプレックスはもっと大きかった。
周りの子とは感覚がずれてたから、地味に苛められたっていうのか…
特に酷い何かをされたわけではないからあんなのはいじめには入らないのかもしれないけど、それでも、聞こえよがしにオタクの悪口を言われたことは何度かあったし、仲間はずれもしょっちゅうだった。
でも、私はそんな事全然気にもしてないふりや、一人が好きなふりをしたからか、それ以上エスカレートすることはなかったけど…
それでも、やっぱりだんだんと学校には行きたくなくなって…そのうち家族と話すのもいやになって、気がついたら漫画やゲームをすることだけが楽しみになってた。
だから、私の世界はとっても狭い。
ファッションのことも芸能人のこともおいしいお店のことも男の子のことも、周りの子が普通に知ってることを私は知らずに生きて来た。
それで良いと思ってたけど、シュウと出会って、そうとも言ってられなくなった。
知らない事が恥ずかしい…だからそれがまたコンプレックスになってしまう。
シュウのことが大好きだから、シュウに相応しい相手になりたいって気持ちは大きいのに、どうあがいてもそうなれない。
そのことが自分でももどかしくて辛いから、シュウに優しくされても心の底から喜べない…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
前世で抑圧されてきた俺がドラ息子に転生したので、やりたい放題の生活をしていたらハーレムができました
春野 安芸
ファンタジー
彼―――神山 慶一郎はとある企業の跡取り息子だった。
神山家たるもの、かくあるべし。
常日頃から厳しく躾けられた彼は、高校入学試験の時に迫ってくる車から女の子を助け、気づいたら見知らぬ世界の見知らぬ人物へと成り代わってしまっていた。
抑圧されてきた彼が命を落として気づいたそこは、名のある貴族の一人息子であるスタン・カミングの身体であった。
転生前のスタンは若干6歳。そして生まれた頃より甘やかされて育ってきたその性格は、わがまま放題のドラ息子でもあった。
そんなスタンが突然変化したことにより戸惑いつつも、次第に周りも受け入れ始める。同時に、神山家から開放されたと実感した彼は新たな生を謳歌しようとドラ息子の立場を利用してわがまま放題すると決めたのであった。
しかし元が御曹司で英才教育を受けてきた彼にとってのわがままは中途半端なものに過ぎず、やることなす事全て周りを助ける結果となってしまう。
彼が動けば良い方向へ。そんな行動を無自覚ながら取り続けた彼の周りには、従者や幼なじみ、果ては王女様まで様々な美少女がついてくることに!?
これは異世界に転生した御曹司のわがまま(自称)生活が、今盛大に始まる!?
異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる