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「あ、そういえば、鏡は見つかりましたか?」

「先日、町の古道具屋に行きましたが、ローランの鏡は小さなものしかありませんでした。」

「そうでしたか、やはりなかなかないものなんですね。
鏡さえあれば、異界へ帰れるのですか?」

「おばあさんとイザベラさんが魔法を掛けてくれるそうです。」

「なるほど、そうなんですね。」



ジョシュアさんも鏡を探してくれてるのかな。
まだ帰って来たばかりだから、知り合いもあんまりいないだろうし、探すとしたらお城の中かな。
宝物庫にもないのかな?



「陛下、そろそろ戻らねばなりませぬ。」

扉の外で声がした。
ジョシュアさんには、いつもお供の人がいる。
要するに、ボディガードだよね。



「では、また来ます。」

「はい、お待ちしております。」

帰る時が一番寂しい。
でも、仕方ないよね。



ジョシュアさんは、いつも馬車で来る。
歩いたら小一時間はかかるからね。
私は門の前に立ち、馬車が見えなくなるまで見送った。



最近、ちょっと変なんだ。
気が付くと、ジョシュアさんのことを考えている。
まるで、恋でもしてるみたい。
いや、そんな馬鹿なことはない。
私は異世界の一般人、ジョシュアさんは王様、好きになってもどうにもならない人なんだから。
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