192 / 216
side 慎太郎
2
しおりを挟む
*
「すごくおいしいです!」
「このすき焼き、最高だよ!
僕が家で食べてたすき焼きとは全然違うよ!」
じいちゃんは町の肉屋に電話をかけて、すき焼きを作ってくれた。
確かにすごくうまい!
きっと、じいちゃん、一番良い肉を注文してくれたんだろうな。
食事をしながら、俺達は向こうでの話をかいつまんで話した。
じいちゃんの質問も尽きない。
「な、な、なんと!
ゆかりさんが河童に…?」
「そうなんです。
多分、慎太郎さんと出会わなければ、私は今でもかっぱのままだったと思いますし、こちらに来ることもなかったでしょう。」
「なぜじゃ?
慎太郎がゆかりさんの呪いを解いたとでもいうのか?」
「そうだよ。
慎太郎さんがゆかりさんにチューしたから、ゆかりさんの呪いが解けたんだよ。」
「チュ…チューとな!?」
こ、こらっ!美戎!
そんなはっきり言わなくて良いだろ!
俺は恥ずかしくて、じいちゃんの視線を逸らした。
「慎太郎…おぬしもやるのぉ…」
じいちゃんはそう言って俺の脇をひじで小突く。
「そ、そんなんじゃないよ!」
「でも、ちょうど良かった。
いや、慎太郎は壺に吸い込まれた…などと、憲太郎には言えんじゃろう?
だから、慎太郎はこっちで知り合ったカワイコちゃんと海外に旅行に行ったことにしてあるんじゃ。
家に戻る時、ゆかりさんにちょっとだけ顔を出してもらうと良かろう。」
「えーーー……」
確かに大変だったと思う。
こんなに長い間、いなくなってたんだから。
その間、じいちゃんは本当のことを言えるはずもなく、気をもんでいたはずだ。
「おまえの携帯から憲太郎にメールを打ったりして工作をしたんじゃが、どうもそれが良くなかったようでな…
警察に捜索願を出すとか言い出しておって…あ、慎太郎!
とりあえず、家に電話しといた方がええぞ。
一言でも声を聞かせておけば、憲太郎も安心するじゃろう。」
「そ、そうだね。」
俺は早速家に電話をかけた。
父さんも母さんもさすがにすごく怒ってたけど、でも、もうじき帰ると言ったら、ほっとしたような声に変わって…
なんていうんだろ……
家族っていいな…なんて……
柄にもなく、俺はじんわりきてしまった。
「すごくおいしいです!」
「このすき焼き、最高だよ!
僕が家で食べてたすき焼きとは全然違うよ!」
じいちゃんは町の肉屋に電話をかけて、すき焼きを作ってくれた。
確かにすごくうまい!
きっと、じいちゃん、一番良い肉を注文してくれたんだろうな。
食事をしながら、俺達は向こうでの話をかいつまんで話した。
じいちゃんの質問も尽きない。
「な、な、なんと!
ゆかりさんが河童に…?」
「そうなんです。
多分、慎太郎さんと出会わなければ、私は今でもかっぱのままだったと思いますし、こちらに来ることもなかったでしょう。」
「なぜじゃ?
慎太郎がゆかりさんの呪いを解いたとでもいうのか?」
「そうだよ。
慎太郎さんがゆかりさんにチューしたから、ゆかりさんの呪いが解けたんだよ。」
「チュ…チューとな!?」
こ、こらっ!美戎!
そんなはっきり言わなくて良いだろ!
俺は恥ずかしくて、じいちゃんの視線を逸らした。
「慎太郎…おぬしもやるのぉ…」
じいちゃんはそう言って俺の脇をひじで小突く。
「そ、そんなんじゃないよ!」
「でも、ちょうど良かった。
いや、慎太郎は壺に吸い込まれた…などと、憲太郎には言えんじゃろう?
だから、慎太郎はこっちで知り合ったカワイコちゃんと海外に旅行に行ったことにしてあるんじゃ。
家に戻る時、ゆかりさんにちょっとだけ顔を出してもらうと良かろう。」
「えーーー……」
確かに大変だったと思う。
こんなに長い間、いなくなってたんだから。
その間、じいちゃんは本当のことを言えるはずもなく、気をもんでいたはずだ。
「おまえの携帯から憲太郎にメールを打ったりして工作をしたんじゃが、どうもそれが良くなかったようでな…
警察に捜索願を出すとか言い出しておって…あ、慎太郎!
とりあえず、家に電話しといた方がええぞ。
一言でも声を聞かせておけば、憲太郎も安心するじゃろう。」
「そ、そうだね。」
俺は早速家に電話をかけた。
父さんも母さんもさすがにすごく怒ってたけど、でも、もうじき帰ると言ったら、ほっとしたような声に変わって…
なんていうんだろ……
家族っていいな…なんて……
柄にもなく、俺はじんわりきてしまった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~
m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。
書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。
【第七部開始】
召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。
一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。
だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった!
突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか!
魔物に襲われた主人公の運命やいかに!
※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。
※カクヨムにて先行公開中
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌
紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。
それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。
今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。
コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。
日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……?
◆◆◆
「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」
「紙でしょ? ペーパーって言うし」
「そうだね。正解!」
◆◆◆
神としての力は健在。
ちょっと天然でお人好し。
自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中!
◆気まぐれ投稿になります。
お暇潰しにどうぞ♪
裏切られた令嬢と裏切った令息の、その後の人生
柚木ゆず
ファンタジー
子爵令嬢アンジェリーヌの幼馴染であり婚約者である、子爵令息ジェラルド。彼はある日大怪我を負って昏睡状態となってしまい、そんなジェラルドを救うためアンジェリーヌは神に祈りを捧げ始めました。
その結果アンジェリーヌの声が届き願いが叶うのですが、その代償として彼女は醜悪な姿になってしまいます。
自らを犠牲にしてまでジェラルドを助けたアンジェリーヌでしたが、その後彼女を待っていたのは婚約解消。ジェラルドは変わり果てたアンジェリーヌを気持ち悪いと感じ、自分勝手に縁を切ってしまったのでした。
そんなジェラルドは、無事に縁を切れて喜んでいましたが――
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!
飼猫タマ
ファンタジー
貧乏準男爵家の三男トト・カスタネット(妾の子)は、13歳の誕生日に貴族では有り得ない『握手』スキルという、握手すると人の名前が解るだけの、全く使えないスキルを女神様から授かる。
貴族は、攻撃的なスキルを授かるものという頭が固い厳格な父親からは、それ以来、実の息子とは扱われず、自分の本当の母親ではない本妻からは、嫌がらせの井戸掘りばかりさせられる毎日。
だが、しかし、『握手』スキルには、有り得ない秘密があったのだ。
なんと、ただ、人と握手するだけで、付随スキルが無限にゲットできちゃう。
その付随スキルにより、今までトト・カスタネットの事を、無能と見下してた奴らを無意識下にザマーしまくる痛快物語。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
元勇者のデブ男が愛されハーレムを築くまで
あれい
ファンタジー
田代学はデブ男である。家族には冷たくされ、学校ではいじめを受けてきた。高校入学を前に一人暮らしをするが、高校に行くのが憂鬱だ。引っ越し初日、学は異世界に勇者召喚され、魔王と戦うことになる。そして7年後、学は無事、魔王討伐を成し遂げ、異世界から帰還することになる。だが、学を召喚した女神アイリスは元の世界ではなく、男女比が1:20のパラレルワールドへの帰還を勧めてきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる