155 / 216
side 慎太郎
31
しおりを挟む
「あの…それでは、その早百合さんという方は美戎さんの……」
「う~ん…まぁ、ご主人様…みたいなものかな?」
「では、美戎さんは早百合さんの家の使用人ということですか?」
「やだなぁ…そうじゃないよ。
僕と早百合さんはラブラブだし、一緒に住んでるんだし。
それに、僕は普段部屋から出ちゃいけないから、お手伝いは出来ないよ。」
長兵衛さんはますます困惑しているみたいだ。
そりゃあそうだ。
全く意味のわからない話だもんな。
「慎太郎さん、あなたはおじいさんの蔵の壺からこちらへ来られたと言われた。
つまりは、山ノ内家のご子孫ということですかな?」
「はい、そうです。」
「それで、その…美戎さんは安倍川家のご子孫なのですか?」
「いえ。
美戎と付き合ってる人が安倍川家の人ってことで、美戎は安倍川家とは関係ありません。」
「……そうでしたか…それは困りました。」
長兵衛さんは曇った顔でそう呟いた。
「あの……なにが困ったんですか?」
「実は…先程もお話した通り、こちらの壺には結界が張られております。
そうでなければ、好き勝手にそちらの世界に行く者が出てしまいますからな。」
「それが何か?」
俺の質問に、長兵衛さんは目を伏せ、大きなため息を漏らした。
「実は…その結界を破るにはあるものが必要となっておりまして……」
「そ、それは、何なんですか?」
「安倍川家の者の血です……」
「血!?それがないと、どうなるんですか?」
「壺の結界は破れず、あなたの世界と通じません。」
「な、な、なんだって~~~!」
だったらどうなるんだ?
美戎は、安倍川家とは関係ないし、俺は山ノ内だし……
「山ノ内ではだめなんですか?
俺の祖先も、安倍川さんと一緒にこっちの世界に来ましたが……」
「安倍川はずっとこの世界に留まりましたが、あなたの祖先はしばらく滞在したら元の世界に戻り、そしてその後は来られなかったとのこと。
ですから、安倍川家の者でなくては繋がらないように、結界を張ったのだと思います……」
「そ、そんな……」
「ねぇ、この世界に安倍川の子孫はいないの?」
「え?あ、そ、そっか。その手があったか!」
美戎が珍しく良いことを言った。
そうだよ、安倍川さんはこの世界に留まったってことだから、子孫がいてもおかしくない。
「う~ん…まぁ、ご主人様…みたいなものかな?」
「では、美戎さんは早百合さんの家の使用人ということですか?」
「やだなぁ…そうじゃないよ。
僕と早百合さんはラブラブだし、一緒に住んでるんだし。
それに、僕は普段部屋から出ちゃいけないから、お手伝いは出来ないよ。」
長兵衛さんはますます困惑しているみたいだ。
そりゃあそうだ。
全く意味のわからない話だもんな。
「慎太郎さん、あなたはおじいさんの蔵の壺からこちらへ来られたと言われた。
つまりは、山ノ内家のご子孫ということですかな?」
「はい、そうです。」
「それで、その…美戎さんは安倍川家のご子孫なのですか?」
「いえ。
美戎と付き合ってる人が安倍川家の人ってことで、美戎は安倍川家とは関係ありません。」
「……そうでしたか…それは困りました。」
長兵衛さんは曇った顔でそう呟いた。
「あの……なにが困ったんですか?」
「実は…先程もお話した通り、こちらの壺には結界が張られております。
そうでなければ、好き勝手にそちらの世界に行く者が出てしまいますからな。」
「それが何か?」
俺の質問に、長兵衛さんは目を伏せ、大きなため息を漏らした。
「実は…その結界を破るにはあるものが必要となっておりまして……」
「そ、それは、何なんですか?」
「安倍川家の者の血です……」
「血!?それがないと、どうなるんですか?」
「壺の結界は破れず、あなたの世界と通じません。」
「な、な、なんだって~~~!」
だったらどうなるんだ?
美戎は、安倍川家とは関係ないし、俺は山ノ内だし……
「山ノ内ではだめなんですか?
俺の祖先も、安倍川さんと一緒にこっちの世界に来ましたが……」
「安倍川はずっとこの世界に留まりましたが、あなたの祖先はしばらく滞在したら元の世界に戻り、そしてその後は来られなかったとのこと。
ですから、安倍川家の者でなくては繋がらないように、結界を張ったのだと思います……」
「そ、そんな……」
「ねぇ、この世界に安倍川の子孫はいないの?」
「え?あ、そ、そっか。その手があったか!」
美戎が珍しく良いことを言った。
そうだよ、安倍川さんはこの世界に留まったってことだから、子孫がいてもおかしくない。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
勇者の処分いたします
はにわ
ファンタジー
勇者・・・それは世界を救う人類の希望。
けれども世の中には断罪され、追放されたり首をはねられたりした勇者もございます。
おイタの過ぎた勇者様は処分を下される、そんな者達のお話です。
#短編集に近い形になるかと思います。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺のペットは異世界の姫
香月 咲乃
恋愛
☆エブリスタの特集で紹介されました!
妖術が存在する異世界の姫・花奈は、国王の父親から政略結婚を強要され、時空を超えて地球へ逃亡する。
幼少期に結婚を約束した想い人・夕翔と結ばれるために。
どうにか再会を果たした2人だが、夕翔は花奈のことを忘れており……。
犬に変身できたおかげで同棲権利を掴んだ花奈は、夕翔とラブラブな生活を送るつもりが、女としてみてもらえず……。
異世界を巻き込んだ恋愛ファンタジーがここに始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる