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side 慎太郎

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「あ、ご、ごめん。
ちょっと、外で話そうか。
ゆかりさん…ちょっと出てくるからこいつらのこと、よろしくね。」

「あ、あぁ……」



俺は、イケメンを連れて慌てて宿の外に出た。
俺達が、違う世界から来たってことを、かっぱのゆかりさんに知られても大丈夫なのかどうかがわからなかったから。







「ここなら、良いだろう。」

俺は、美戎を町外れの木立に連れて行った。



「どうして、部屋で話さないの?」

不思議そうな顔をする美戎は、俺より頭一つ分程背が高く、すらーっと手足が伸びてて、女の人みたいに長い髪を一つに結んで、バンドをやってる人が好みそうな派手な細身のスーツを着てて…
男の俺から見ても惚れ惚れしてしまう格好良さだ。
畜生!きっと、すごくモテるんだろうなぁ…



「……どうかしたの?」

「あ…いや…部屋には、ゆかりさんっていうかっぱがいるんだ。
俺達が違う世界から来たこと、バレても大丈夫なのかどうかわからなかったから。」

「バレちゃまずいの?」

「まずいかどうかわからないけど…念のためだよ。
そんなことより、君は、じいちゃんに頼まれて俺を連れ戻しに来たって言ってたけど…
じゃあ、君もあの壺に吸い込まれて……?」

「そうだよ。
蔵の中の壺に吸い込まれて…どこかよくわからないお屋敷に着いて…
そこのおじいさんに、慎太郎さんがおじいさんの兄弟子の所に行ったことを聞いて、それで追いかけて来たんだ。」

「そうだったんだ。
でも、どうして、じいちゃんは……」

その時、遠くで鐘の音が響くのが聞こえた。
大きな町ではよくあることなんだけど、これは時報みたいなもんだ。



「そろそろ、あいつらに食事をさせなきゃならない。
続きは夜にでも聞かせてもらうよ。
君も夕食はまだだろう?」

「うん。あ…そういえば、僕、おいも持ってるんだ。
すっごくおいしいんだよ。」

美戎は肩にかけたバッグから、焼き芋を取り出し、それを半分に折ってその片方を俺の前に差し出した。



「ありがとう。」

温かい焼き芋は、甘くてほくほくしてて、一口食べただけで今までに食べた焼き芋とは比べ物にならない程、格別においしいとわかった。




「本当だ…めちゃめちゃおいしいよ!
ねぇ、この焼き芋、どこで買ったの?」

「買ったんじゃないよ。
もらったんだ。
ここに来る途中、実は道に迷ってね。
そこで、もらったんだ。
焚き火をしてた女の人に……」

「……え……?」



そ、その女の人って、もしかして……
じゃあ、ま、ま、まさか、この焼き芋は……



「ぎ、ぎゃあーーーーーーー!」

俺はその場に焼き芋を放り出し、知りたくなかった真実に身体を震わせた。
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