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恋
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「イヴ、ミリアムの言う通りだ。
あんたが今のままで幸せだとしても、ミリアムの気持ちは満たされないぜ。
こいつは何も言わないが、毎日診療所に通ってたんじゃ、その間、働く事も出来やしねぇ。
きっとその間は食うや食わずの酷い暮らしをしてたんじゃないか?
それでも歯を食いしばって頑張ったのは、あんたの目を治してやりたいっていう強い気持ちがあったからだろ?
その苦労を考えたら、あんたも応えてやらなきゃならないんじゃないか?
先生が治るって言ってくれてるならきっと治るさ。
良いか、イヴ…あんたはミリアムのおかげで大きなチャンスを手にしたんだ。
チャンスなんてもんはな、どんなに欲しいと願っても手に入れられるのはほんの一握りの者だけなんだぜ。
それを不意にするなんてもったいないことしたら、チャンスに恵まれなかった人達にも申し訳ないと思わねぇか?
まずはチャンスを生かすことだ。
うまくいくかどうかなんてことを考えても、それでどうにかなるもんじゃねぇ。
どうにもならないことなんて、考える必要はねぇんだ!」
イヴは、ジュリアンの言葉にはっとしたようにミリアムの方に顔を向けた。
「……私…ちっとも気付いてなかった…
ミリアム…あなた、何も言ってくれなかったけど…
そうだわ、ジュリアンさんの言う通りだわ。
あなた、どんな生活をしてたの!?」
「大丈夫だよ。
僕は昔から身体は丈夫だから。
そりゃあ、確かに大変なこともあったけど…君の苦しみに比べたらそんなことなんてなんともなかった。
僕が頑張れたのは君のおかげなんだよ。」
「ミリアム……」
イヴは、ミリアムの手を握り締め、混み上がる感情に唇を噛み締めた。
「イヴ…ミリアムはあんたが考えてる以上の想いをして、やっとのことでチャンスを手に入れたんだ。
わかるよな?」
「え、ええ……でも、ジュリアンさん。
それがわかればわかる程、私、怖いんです。
そんなに苦労して手に入れたチャンスなのに、もしも、手術が失敗したら…私、どうしたら…」
「だから言ってるだろ?
大切なのは、うまくいくかどうかじゃないんだ。
あんたが、ミリアムの苦労を理解して、そしてそれに応えればそれで良い。
たとえうまくいかなかったとしても、そんなのは今の結果でしかないんだ。」
「今の結果でしかない…?」
イヴはその意味を探るように、ジュリアンの言葉を繰り返した。
あんたが今のままで幸せだとしても、ミリアムの気持ちは満たされないぜ。
こいつは何も言わないが、毎日診療所に通ってたんじゃ、その間、働く事も出来やしねぇ。
きっとその間は食うや食わずの酷い暮らしをしてたんじゃないか?
それでも歯を食いしばって頑張ったのは、あんたの目を治してやりたいっていう強い気持ちがあったからだろ?
その苦労を考えたら、あんたも応えてやらなきゃならないんじゃないか?
先生が治るって言ってくれてるならきっと治るさ。
良いか、イヴ…あんたはミリアムのおかげで大きなチャンスを手にしたんだ。
チャンスなんてもんはな、どんなに欲しいと願っても手に入れられるのはほんの一握りの者だけなんだぜ。
それを不意にするなんてもったいないことしたら、チャンスに恵まれなかった人達にも申し訳ないと思わねぇか?
まずはチャンスを生かすことだ。
うまくいくかどうかなんてことを考えても、それでどうにかなるもんじゃねぇ。
どうにもならないことなんて、考える必要はねぇんだ!」
イヴは、ジュリアンの言葉にはっとしたようにミリアムの方に顔を向けた。
「……私…ちっとも気付いてなかった…
ミリアム…あなた、何も言ってくれなかったけど…
そうだわ、ジュリアンさんの言う通りだわ。
あなた、どんな生活をしてたの!?」
「大丈夫だよ。
僕は昔から身体は丈夫だから。
そりゃあ、確かに大変なこともあったけど…君の苦しみに比べたらそんなことなんてなんともなかった。
僕が頑張れたのは君のおかげなんだよ。」
「ミリアム……」
イヴは、ミリアムの手を握り締め、混み上がる感情に唇を噛み締めた。
「イヴ…ミリアムはあんたが考えてる以上の想いをして、やっとのことでチャンスを手に入れたんだ。
わかるよな?」
「え、ええ……でも、ジュリアンさん。
それがわかればわかる程、私、怖いんです。
そんなに苦労して手に入れたチャンスなのに、もしも、手術が失敗したら…私、どうしたら…」
「だから言ってるだろ?
大切なのは、うまくいくかどうかじゃないんだ。
あんたが、ミリアムの苦労を理解して、そしてそれに応えればそれで良い。
たとえうまくいかなかったとしても、そんなのは今の結果でしかないんだ。」
「今の結果でしかない…?」
イヴはその意味を探るように、ジュリアンの言葉を繰り返した。
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