天使からの贈り物・恋

ルカ(聖夜月ルカ)

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「ミリアム、イヴのことは頼んだぜ!
俺はもう良い。
どう考えても、あんたみたいなしつこい男と張り合って、勝ち目はなさそうだからな。」

「ジュリアンさん…本当に?本当に良いんですか!?」

「……馬鹿野郎!そんなこと俺に聞いてどうすんだ!
イヴの顔見たらわかるだろ!
……俺に勝ち目はねぇ…イヴの心の中にはずーっとあんたがいたんだ。
それを無理に忘れようとして俺に着いて来てくれただけなんだ…端から俺は相手になんかされちゃなかったんだよ……」

ジュリアンの声は次第に小さくなり、そのまま寂しそうに下を向いた。



「ごめんなさい、ジュリアンさん…
でも、私、本当にジュリアンさんのこと…」

「ありがとう、イヴ。
あんたは本当に良い娘だな…
……心配すんな。
俺、こう見えてもけっこうモテるからな。
俺さえその気になれば、恋人の一人や二人はすぐ出来る。
……ほらほら、そんな困ったような顔しなさんなって!」

ジュリアンは作り笑いを浮かべて平静を装い、イヴの肩を優しく叩いた。



「あの…ちょっと聞きたいんだが…」

そんな最中、唐突にかけられた声にジュリアンが顔を上げると、そこには乗船前に出会った中年の男が立っていた。



「なんだ?……あ、あんたはさっきの……!」

イヴもちょうどその時、その声を思い出したのか、不安そうに顔を伏せた。



「この女の子のことがどうにも気になって戻って来たんだが、船は出た後だった。
さっきの船に乗ったのならもういないだろうなと思ったら、ちょうどあんたらの姿をみつけて…」

「おい、あんた!イヴに何の用があるってんだ!」

「イヴ!?その子はやっぱりイヴっていうのか!?
な、あんた…あんたには、メグって妹がいないか?」

「えっ?え……えぇ、いますけど…」

妹の名を出され、イヴは少し驚いたように顔を上げた。



「やっぱりそうか!
やっぱり……」

男は、イヴの前にしゃがみこみ、片手で顔を覆う。



「おい、どういうことだ。
あんた、イヴの妹の知り合いなのか?」

「そうじゃねぇ…そうじゃねぇんだ…」

男は俯いたまま、涙声で首を振った。 
 
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