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恋
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ジュリアンは足音を気遣いながら駆け出した。
甲板の反対側に。
イヴに気付かれてないことを確かめると、ジュリアンは物陰に身を隠し、おもむろに首にかけた皮袋を引き出した。
『やめろ……』
「エレス!
な、なんだ、てめぇ!俺が何度呼んでも出て来なかったくせに、今頃、何の用だ!」
不意に現れたエレスは、ジュリアンの問いかけには答えず、ゆっくりと首を振った。
『ジュリアン、やめろ。
イヴは慣れない船旅で、ただ少し感傷的になっているだけだ。』
「畜生!
おまえ、また隠れて全部見てたんだな!
なら、余計にわかるだろ!
イヴはまだあいつに未練があるんだ。
俺だって、あいつが現れた理由がわからなきゃすっきりしねぇ!
だから、あいつに直接話を聞く!」
『やめろと言ってるのがわからんのか!
……今、戻ってしまったら……おまえはイヴを失うことになるかもしれんのだぞ。
いや…きっとそうなる…それでも良いのか?』
「おまえ……あいつが来たわけを知ってるのか!?」
神妙な顔で問いかけたジュリアンに、エレスは再び首を振る。
『そうではない。
ただ…そんな予感がするだけだ。
……今回のことでは、少しでしゃばりすぎたかもしれんが、私はおまえのこともイヴのことも大好きだ。
だから、二人に幸せになってほしいと思った。
とても短絡的なことを言っているのはよくわかっている。
しかし、それでも私はそうなってほしいのだ。』
「お…おまえ……
……調子狂うじゃないか。
いつもの憎まれ口はどうしたんだ!」
エレスは、俯いたまま失笑する。
『そうだな。確かに私らしくないかもしれないな。
だが、石は持ち主の幸せのために何かをしたくなるものなのだ。
私はおまえという人間をよく知っている。
おまえなら、絶対にイヴを幸せに出来るし、それによっておまえも幸せになれる。
だから…』
「馬鹿野郎!
俺のことをよく知ってるなら、わかるだろ!
おまえが止めたくらいで、俺が自分のやりたいことをやめるかどうか…」
そう言うと、ジュリアンは両手でエレスチャルを握り締め、そっと目を閉じた。
『ジュリアン、やめろ!』
エレスの感情的な声が飛んだ。
(エレスチャル、どうか、時を戻してくれ!
船が港を離れるその前に……!)
甲板の反対側に。
イヴに気付かれてないことを確かめると、ジュリアンは物陰に身を隠し、おもむろに首にかけた皮袋を引き出した。
『やめろ……』
「エレス!
な、なんだ、てめぇ!俺が何度呼んでも出て来なかったくせに、今頃、何の用だ!」
不意に現れたエレスは、ジュリアンの問いかけには答えず、ゆっくりと首を振った。
『ジュリアン、やめろ。
イヴは慣れない船旅で、ただ少し感傷的になっているだけだ。』
「畜生!
おまえ、また隠れて全部見てたんだな!
なら、余計にわかるだろ!
イヴはまだあいつに未練があるんだ。
俺だって、あいつが現れた理由がわからなきゃすっきりしねぇ!
だから、あいつに直接話を聞く!」
『やめろと言ってるのがわからんのか!
……今、戻ってしまったら……おまえはイヴを失うことになるかもしれんのだぞ。
いや…きっとそうなる…それでも良いのか?』
「おまえ……あいつが来たわけを知ってるのか!?」
神妙な顔で問いかけたジュリアンに、エレスは再び首を振る。
『そうではない。
ただ…そんな予感がするだけだ。
……今回のことでは、少しでしゃばりすぎたかもしれんが、私はおまえのこともイヴのことも大好きだ。
だから、二人に幸せになってほしいと思った。
とても短絡的なことを言っているのはよくわかっている。
しかし、それでも私はそうなってほしいのだ。』
「お…おまえ……
……調子狂うじゃないか。
いつもの憎まれ口はどうしたんだ!」
エレスは、俯いたまま失笑する。
『そうだな。確かに私らしくないかもしれないな。
だが、石は持ち主の幸せのために何かをしたくなるものなのだ。
私はおまえという人間をよく知っている。
おまえなら、絶対にイヴを幸せに出来るし、それによっておまえも幸せになれる。
だから…』
「馬鹿野郎!
俺のことをよく知ってるなら、わかるだろ!
おまえが止めたくらいで、俺が自分のやりたいことをやめるかどうか…」
そう言うと、ジュリアンは両手でエレスチャルを握り締め、そっと目を閉じた。
『ジュリアン、やめろ!』
エレスの感情的な声が飛んだ。
(エレスチャル、どうか、時を戻してくれ!
船が港を離れるその前に……!)
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