天使からの贈り物・恋

ルカ(聖夜月ルカ)

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「行き先は、本当に俺が決めて良いんだな?」

「ええ。私はここから離れられればどこだって良いんです。」

「……そうか。
じゃ…そうだ、町に着いて一番先に出航する船にしないか?
行き先がどんな場所なのか知らないで行くのも面白いんじゃないか?」

「……そうですね。
じゃあ、そうしましょう。
どんな所に行くことになるのか、今からとても楽しみです。
……ところで、ジュリアンさん、今日はどこへ行かれてたんですか?」

「うん…ちょっとな。」

ジュリアンは適当に言葉を濁し、どこへ行ってたかを明かすことはなかったが、その口調から、きっと何らかの楽しいことがあったのだろうとイヴは推測した。

二人は次の日、夕刻過ぎに港のある町に着いたが、その日はもう出航する船はなく、一番早い船は次の日の昼近くに出る船だとわかった。
行き先は、ジュリアンもまだ行ったことのない東の大陸だった。
東の大陸には船でしか行く事が出来ないため、ジュリアンもそこにどのような町があるのかも知らず、温暖で暮らしやすい所だという評判を聞いたことがあるくらいだった。
しかし、三月に一度しか来ない船にたまたま出会えたことは、ジュリアンにはまるで運命のようにも感じられた。
イヴは、行き先が決まってもさしてその場所に興味を示さず、そのことがジュリアンの不安をかきたてる。



(どこでも良いったって、これから住む場所なんだから、気にならないはずがねぇ…
それなのにイヴは……
いや、きっとイヴも不安なんだ。
なんたって全く知らない場所に行くんだからな…聞けばその不安がますます大きくなるような気がして、それで詳しく聞こうとしないのかもしれないな。
……うん、きっとそうだ。)

部屋の窓から夜空を見上げながら、ジュリアンは自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。
しかし、それでもやはり不安は拭い去れず、ジュリアンは救いを求めるように何度も呼びかけたが、とうとうエレスが現れることはなかった。



(エレスの奴…もう出て来ねぇつもりなのか?
一体、なんで…?
まさか、なにかあったわけじゃないよな?
石には何の異変もないもんな…
畜生!心配かけやがって…!)



エレスが姿を消した理由もわからず悶々とした気持ちを抱えたまま、ジュリアンは眠れない夜を過ごした。

 
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