天使からの贈り物・恋

ルカ(聖夜月ルカ)

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「お、おはようございます。」

「お、お、お、おはよう!」

扉を開けたジュリアンの心臓は、そこに立っていた思わぬ人物の訪問に早鐘を打ち始める。
その動揺を悟られまいと懸命に平静を装い、上ずった声で挨拶を返すジュリアンの顔からは、すでに大量の脂汗が流れていた。



『イヴ、よく訪ねてくれた。
さぁ、そこに腰掛けて。』

イヴに手を貸すジュリアンの動きは、人形のようにぎこちないものだった。
エレスはその様子に苦笑する。



「ジュリアンさん…もしかして今日は体調がお悪いんですか?」

「えっ!?ど、ど、ど、どうして?」

「身体が熱いし、声がなんだかおかしいから、風邪でもひかれたのかと思って…」

「えっ!い、い、いや、こ、こ、これは…」

慌ててしどろもどろになるジュリアンの代わりに、エレスが横から口を挟む。



『イヴ、こいつのことなら心配ない。
身体の方は至って元気だ。
ただ、精神の方は少し弱っているがな…
ジュリアンは、君が来てくれたから緊張してるだけだ。』

「ば、ば、馬鹿野郎!おかしなこと言うなよな!
お、俺はなにも緊張なんか…」

『ジュリアン、声が上ずっているぞ。』

「う、う、うるせぇ!うるせぇ!」

ジュリアンは頭を振って耳を塞ぎ、エレスは諦め顔でジュリアンの様子を一瞥する。




『それで、イヴ…君の気持ちは決まったのか?』

イヴは俯いたままでそっと頷いた。



「……本当にこんな私で良いのなら…私は喜んで…」

「え……」

『聞こえなかったのか?
イヴ、すまないがもう一度言ってやってくれ。』

「はい。
……ジュリアンさん、私なんかで良いのなら…どうぞよろしくお願いします。」

頬を桃色に染め俯き気味に、イヴははっきりとそう言った。



「え……?え?……えええーーーーーっっ!」

一瞬ぽかんとしたジュリアンは、突然、素っ頓狂な叫び声を上げた。
そして、おろおろとした様子でその場に立ち尽くし、口がぱくぱくと動かすばかりで少しも声が出ない。



『おい、ジュリアン、しっかりしろ!
ほら、酒でも飲んで…』

ジュリアンはエレスに頷き、酒を瓶ごとあおると、その場にへなへなと膝を着いた。



「ジュリアンさん、どうかなさったんですか?」

「だ…だ…」

『……大丈夫だそうだ。
ありがとう、イヴ。
私もとても嬉しいよ。』



しばらくの放心状態が続いた後、ジュリアンはようやく少しずつ落ちつきを取り戻した。

 
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