ステルラ・トランスウォランス～ぼくとロジャーとメテオール

本編

２６

倒れたロジャーは、少しも動かない。



「ロジャー！大丈夫か！
ロジャー！」



彼の体を揺すると、まるで砂のように体がほぐれ、風に乗って消えて行って…



「ロ、ロジャー！」



『ありがとう、ダニエル…
君のおかげで、僕は迷わず良い所へ上がっていけそうだよ。』



「ロジャー、どこだ！？
どこにいる？大丈夫なのか？」



『……ずっと憧れてたんだ。
人に飼われることに…幸せな世界に…』



「ロジャー、どこなんだ！？」



『君は僕に名前までつけてくれたね。とても嬉しかった。
君のおかげで、僕の気持ちは満たされた。
短い間だったけど、とても幸せだったよ…ありがとう、ダニエル。』



「あ……」



天上から一筋の光が差し込み…
その中をロジャーは吸い込まれるように上って行った。



「ロジャー！待って！
行かないで！」



眩い光はだんだん薄くなり、やがて、何も見えなくなった。



「……ロジャー。」



今のは何だったんだ？
ロジャーは、どこに…



その時、地表に小さな穴が空いていることに気が付いた。
もしかして、流れ星が…
僕は、穴を掘った。
すると、そこに黒い小さな塊をみつけた。



（もしかして…これが、流れ星の欠片！？）



震える手で、僕はその塊を取り、ハンカチに包んだ。