160 / 198
薔薇色の時間(とき)
13
しおりを挟む
*
その後もレヴ達は町から町を歩いたが、依然として何の情報も得られなかった。
その間には大きな町もあるにはあったのだが、そこでも宝石にまつわる有力な話は聞けず、ただ、宝石を売りつけられそうになっただけだった。
「レヴ…どうする?
どこかで進路を変更するかい?」
「…そうだな。
それも良いかもしれないな。
これほどまでに情報がないとは考えてもみなかった。
赤と緑というイメージに思い当たるものさえ、皆目みつからないのだからな。」
「そうだよね。
それに、ヴェールとジネットもまったく進歩ないみたいだよ。
いまだに『ヴェールさん』『ジネットさん』だからね。
あたしの努力はなんだったんだよ~!」
「無駄だったともいえないぞ。
君はずいぶんと進化したではないか。
スペルの間違いもなくなってきたし、字も格段にうまくなってきた。」
「だけどさ、ジネットが帰る半年まではもうあんまりないんだよ。
こんな調子じゃこの旅もいつまで続くかわからないっていうのに…」
「そんなことを言っても私達が強制するようなことでもないからな。
彼らは純粋だから、きっと離れても心変わりをする事などないだろう…」
「あんたは本当に甘いね。
ジネットもあの通りの美人だし、森に帰ったら誰かに言い寄られるかもしれないじゃないか。
ヴェールがおち込む姿はもう見たくないからね!
なんとかうまくいってほしいんだよ。
でも、あの二人、まだ手も繋がないんだから…
あぁ、まったくイライラするね!」
「彼等は一緒にいるだけで幸せなのだよ、きっと…」
気が付けば、西の森を出てからもう五ヶ月と少しの時が経っていたのだ。
サリーが焦るのも無理はない話だが、だからといってジネットとヴェールのことも魔石のこともどうにか出来る事でもない…
ある朝のことだった…
「では、私達はまた伝承の聞きこみに行って来ますね。
夕方には戻りますから…」
「はい、わかりました…」
「……ジネット、どうかしたのかい?
なんだか顔色が悪いようだけど…」
「いえ…たいしたことは……
あ……」
ジネットの身体が突然バランスを崩した。
「ジネット!大丈夫かい?!」
咄嗟に駆け寄ったサリーがジネットを支える。
「あれ?ジネット…あんた、なんだか身体が熱いよ。
熱があるんじゃないのかい?」
「まさか…!」
「まさかじゃないよ。
ねぇ、レヴ、ジネットが熱っぽいみたいなんだけど…」
レヴがジネットの額に触った。
「そうですね。少し熱っぽいようです。
今日はゆっくり休まれた方が良さそうですね。」
その後もレヴ達は町から町を歩いたが、依然として何の情報も得られなかった。
その間には大きな町もあるにはあったのだが、そこでも宝石にまつわる有力な話は聞けず、ただ、宝石を売りつけられそうになっただけだった。
「レヴ…どうする?
どこかで進路を変更するかい?」
「…そうだな。
それも良いかもしれないな。
これほどまでに情報がないとは考えてもみなかった。
赤と緑というイメージに思い当たるものさえ、皆目みつからないのだからな。」
「そうだよね。
それに、ヴェールとジネットもまったく進歩ないみたいだよ。
いまだに『ヴェールさん』『ジネットさん』だからね。
あたしの努力はなんだったんだよ~!」
「無駄だったともいえないぞ。
君はずいぶんと進化したではないか。
スペルの間違いもなくなってきたし、字も格段にうまくなってきた。」
「だけどさ、ジネットが帰る半年まではもうあんまりないんだよ。
こんな調子じゃこの旅もいつまで続くかわからないっていうのに…」
「そんなことを言っても私達が強制するようなことでもないからな。
彼らは純粋だから、きっと離れても心変わりをする事などないだろう…」
「あんたは本当に甘いね。
ジネットもあの通りの美人だし、森に帰ったら誰かに言い寄られるかもしれないじゃないか。
ヴェールがおち込む姿はもう見たくないからね!
なんとかうまくいってほしいんだよ。
でも、あの二人、まだ手も繋がないんだから…
あぁ、まったくイライラするね!」
「彼等は一緒にいるだけで幸せなのだよ、きっと…」
気が付けば、西の森を出てからもう五ヶ月と少しの時が経っていたのだ。
サリーが焦るのも無理はない話だが、だからといってジネットとヴェールのことも魔石のこともどうにか出来る事でもない…
ある朝のことだった…
「では、私達はまた伝承の聞きこみに行って来ますね。
夕方には戻りますから…」
「はい、わかりました…」
「……ジネット、どうかしたのかい?
なんだか顔色が悪いようだけど…」
「いえ…たいしたことは……
あ……」
ジネットの身体が突然バランスを崩した。
「ジネット!大丈夫かい?!」
咄嗟に駆け寄ったサリーがジネットを支える。
「あれ?ジネット…あんた、なんだか身体が熱いよ。
熱があるんじゃないのかい?」
「まさか…!」
「まさかじゃないよ。
ねぇ、レヴ、ジネットが熱っぽいみたいなんだけど…」
レヴがジネットの額に触った。
「そうですね。少し熱っぽいようです。
今日はゆっくり休まれた方が良さそうですね。」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
16世界物語1 趣味人な魔王、世界を変える
海蛇
ファンタジー
剣と魔法が支配したりする世界『シャルムシャリーストーク』。
ここは人間世界と魔族世界の二つに分かれ、互いの種族が終わらない戦争を繰り広げる世界である。
魔族世界の盟主であり、最高権力者である魔王。
その魔王がある日突然崩御し、新たに魔王となったのは、なんとも冴えない人形好きな中年男だった。
人間の女勇者エリーシャと互いのことを知らずに出会ったり、魔族の姫君らと他愛のない遊びに興じたりしていく中、魔王はやがて、『終わらない戦争』の真実に気付いていく……
(この作品は小説家になろうにて投稿していたものの部分リメイク作品です)
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界
Greis
ファンタジー
【注意!!】
途中からがっつりファンタジーバトルだらけ、主人公最強描写がとても多くなります。
内容が肌に合わない方、面白くないなと思い始めた方はブラウザバック推奨です。
※主人公の転生先は、元はシナリオ外の存在、いわゆるモブと分類される人物です。
ベイルトン辺境伯家の三男坊として生まれたのが、ウォルター・ベイルトン。つまりは、転生した俺だ。
生まれ変わった先の世界は、オタクであった俺には大興奮の剣と魔法のファンタジー。
色々とハンデを背負いつつも、早々に二度目の死を迎えないために必死に強くなって、何とか生きてこられた。
そして、十五歳になった時に騎士学院に入学し、二度目の灰色の青春を謳歌していた。
騎士学院に馴染み、十七歳を迎えた二年目の春。
魔法学院との合同訓練の場で二人の転生者の少女と出会った事で、この世界がただの剣と魔法のファンタジーではない事を、徐々に理解していくのだった。
※小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
小説家になろうに投稿しているものに関しては、改稿されたものになりますので、予めご了承ください。
捨てられた第四王女は母国には戻らない
風見ゆうみ
恋愛
フラル王国には一人の王子と四人の王女がいた。第四王女は王家にとって災厄か幸運のどちらかだと古くから伝えられていた。
災厄とみなされた第四王女のミーリルは、七歳の時に国境近くの森の中で置き去りにされてしまう。
何とか隣国にたどり着き、警備兵によって保護されたミーリルは、彼女の境遇を気の毒に思ったジャルヌ辺境伯家に、ミリルとして迎え入れられる。
そんな中、ミーリルを捨てた王家には不幸なことばかり起こるようになる。ミーリルが幸運をもたらす娘だったと気づいた王家は、秘密裏にミーリルを捜し始めるが見つけることはできなかった。
それから八年後、フラル王国の第三王女がジャルヌ辺境伯家の嫡男のリディアスに、ミーリルの婚約者である公爵令息が第三王女に恋をする。
リディアスに大事にされているミーリルを憎く思った第三王女は、実の妹とは知らずにミーリルに接触しようとするのだが……。
聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!
山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」
────何言ってんのコイツ?
あれ? 私に言ってるんじゃないの?
ていうか、ここはどこ?
ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ!
推しに会いに行かねばならんのだよ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる