24 / 198
我が家へ…
3
しおりを挟む
「そういえば、サリーさんとレヴさんの出会いのいきさつはお聞きしたことがありませんでしたね。」
「そうだったか?
アマゾナイトをくれた老人を探しているうちにピエールさんに出会い、そしてそこでサリーと知り合ったんだ。
元はといえば、ただの好奇心だったのかもしれない。
あるいは、私のことがよほど頼りなく見えたのだろうな。
ふとしたきっかけで、こんなことに巻き込んでしまって申し訳無く思うこともあるし、感謝もしている。
ヴェール…
出会いというものは本当に不思議なものだな…
君はそんな風には思わないか?」
「思いますよ…
あなた方があの森を通らなければ、私の生活はきっと変わってはいなかった…」
ヴェールは、どこか遠くを見つめながら、独り言のように呟いた。
「君があの時、私達をみつけてくれていなければ、私達はあのまま命を落としていただろう…」
「あなたがもし暗き森を迂回して別の道を通っていても、私達は出会ってなかった…」
「そもそも、あの石を手にしなければ、私は旅には出ていなかっただろう…
家を出る時も、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかったのだからな…
……ほんの僅かな時間のズレや選択するものを変えただけで出会いは変わり、そして、人生さえもが変わってしまうことがあるのだな…」
「…それもすべては神の決められたことなのでしょうか…?
自分で選んで考え行動したつもりのものが、実は神の決められたことなのではないかと感じる事があります。」
「…私にもまだわからない…
ただ、そうであろうとなかろうと、様々な体験が自分の力になっていることだけは確かなのではないかと思う。
…それで良いではないか…」
「…そうですね…
そんなことを考えても答えなどみつかるわけもありませんよね…」
二人は顔を見合わせ、静かに微笑んだ。
「…ところで、私は暗き森を出てから変わってますか?」
「あぁ…君は外見も内面もかなり変化したと思うぞ。」
「…それは…良い変化ですか?」
「もちろんだとも…
君はこれから森の民を束ねていく立場に就くのだ。
今後ももっともっと変わって行くことだろうな。」
「そのことについては、まだ不安がありますが…
良い変化だと言っていただけたのは素直に嬉しいです。」
「そう…それだ。」
「なにがです?」
ヴェールは、きょとんとした顔でレヴをみつめた。
「君は昔はそんなに率直に自分の感情を表す性格ではなかったではないか。」
「…あぁ…そうかもしれないですね…
私は人と会うこと自体が嫌いでしたから…」
「それは仕方のないことだ…
君の髪や肌の色のせいで面倒が起こらなかったのは不幸中の幸いだったと思う。」
「森の暗さが助けてくれたんですね。」
「…森は、君の親類のようなものだからな…きっと彼らが助けてくれたのだろう。」
「そうだったか?
アマゾナイトをくれた老人を探しているうちにピエールさんに出会い、そしてそこでサリーと知り合ったんだ。
元はといえば、ただの好奇心だったのかもしれない。
あるいは、私のことがよほど頼りなく見えたのだろうな。
ふとしたきっかけで、こんなことに巻き込んでしまって申し訳無く思うこともあるし、感謝もしている。
ヴェール…
出会いというものは本当に不思議なものだな…
君はそんな風には思わないか?」
「思いますよ…
あなた方があの森を通らなければ、私の生活はきっと変わってはいなかった…」
ヴェールは、どこか遠くを見つめながら、独り言のように呟いた。
「君があの時、私達をみつけてくれていなければ、私達はあのまま命を落としていただろう…」
「あなたがもし暗き森を迂回して別の道を通っていても、私達は出会ってなかった…」
「そもそも、あの石を手にしなければ、私は旅には出ていなかっただろう…
家を出る時も、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかったのだからな…
……ほんの僅かな時間のズレや選択するものを変えただけで出会いは変わり、そして、人生さえもが変わってしまうことがあるのだな…」
「…それもすべては神の決められたことなのでしょうか…?
自分で選んで考え行動したつもりのものが、実は神の決められたことなのではないかと感じる事があります。」
「…私にもまだわからない…
ただ、そうであろうとなかろうと、様々な体験が自分の力になっていることだけは確かなのではないかと思う。
…それで良いではないか…」
「…そうですね…
そんなことを考えても答えなどみつかるわけもありませんよね…」
二人は顔を見合わせ、静かに微笑んだ。
「…ところで、私は暗き森を出てから変わってますか?」
「あぁ…君は外見も内面もかなり変化したと思うぞ。」
「…それは…良い変化ですか?」
「もちろんだとも…
君はこれから森の民を束ねていく立場に就くのだ。
今後ももっともっと変わって行くことだろうな。」
「そのことについては、まだ不安がありますが…
良い変化だと言っていただけたのは素直に嬉しいです。」
「そう…それだ。」
「なにがです?」
ヴェールは、きょとんとした顔でレヴをみつめた。
「君は昔はそんなに率直に自分の感情を表す性格ではなかったではないか。」
「…あぁ…そうかもしれないですね…
私は人と会うこと自体が嫌いでしたから…」
「それは仕方のないことだ…
君の髪や肌の色のせいで面倒が起こらなかったのは不幸中の幸いだったと思う。」
「森の暗さが助けてくれたんですね。」
「…森は、君の親類のようなものだからな…きっと彼らが助けてくれたのだろう。」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。
ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
16世界物語1 趣味人な魔王、世界を変える
海蛇
ファンタジー
剣と魔法が支配したりする世界『シャルムシャリーストーク』。
ここは人間世界と魔族世界の二つに分かれ、互いの種族が終わらない戦争を繰り広げる世界である。
魔族世界の盟主であり、最高権力者である魔王。
その魔王がある日突然崩御し、新たに魔王となったのは、なんとも冴えない人形好きな中年男だった。
人間の女勇者エリーシャと互いのことを知らずに出会ったり、魔族の姫君らと他愛のない遊びに興じたりしていく中、魔王はやがて、『終わらない戦争』の真実に気付いていく……
(この作品は小説家になろうにて投稿していたものの部分リメイク作品です)
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
クラスメイトと共に異世界に召喚されたので世界平和をめざします
ミジロ
ファンタジー
平和な日常から突然異世界にクラスメイトと共に召喚されれ二週間の訓練を受けて強くなるが物語の主人公である福田海斗は初めての実戦で敵の攻撃から仲間を庇い大怪我をしてしまい王宮から追放されてしまう、それでも諦めずに異世界で出会った仲間と追放された天使と共にクラスメイトとは別行動して平和を目指して頑張る物語
※ブックマーク登録、感想、評価、レビューをお待ちしています
なろうでも連載してます、内容に変化はありませんが文体などをいじったりしてるかもしれないです
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる