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(柚希さん……)



今の『ありがとう』
感動したよ。
こんな私でも、少しは柚希さんの役に立てることがあるのかな?
だとしたら、嬉しいよ。
めちゃくちゃ嬉しいよ。



「今度はどうしたの?」

柚希さんは、私の涙を指で拭ってくれた。
私は何も言えず、ただ無理して微笑んだ。



「泣いたり笑ったり忙しいね。」

「……はい。」

「このこと、父さん達にはしばらく黙っていようよ。
準備が整ったら、サプライズで話そう。」

「みんな、きっとびっくりされますよ。」

「だろうね。楽しみだね。」

そう言った柚希さんの表情はとても晴れ晴れとしたものだった。
私の心も釣られて明るく晴れ渡る。
自然に笑みが浮かんで…



「本当に忙しいね。
内装、どのくらいで出来るかな…」

柚希さんは、小さな声で独り言を言う。
私には見当も付かないけれど、やっぱりそれなりにはかかるだろうね。
何からどうしていけば良いのか、私にはよくわからない。
普通の引っ越しだけでも大変なのに、今回は、内装や外装もしなきゃいけないし、クリニックを開くにはまたいろんな手続きも必要だろうし、本当に大変そうだ。
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