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「気になるって、何が!?」

「ちょっと…」

由香が小声で手招きするから、私は由香に近寄った。



「何気ないふりして、ちょっと後ろ見て。
斜め後ろに、グレーのポロシャツで黒髪の人、いるじゃない。あの人、見覚えがないか確認して。」

「え?」

私は反射的に振り向いた。



「ダメだって!あくまでも何気なく。」

「あ、ご、ごめん。」

今度は出来るだけさりげなく、後ろを振り返った。
確かにいた。
真面目そうなイケメンさんだ。



「……どう?」

「全く知らない。」

「よく考えてよ。」

「いや、見たことないよ。」

「そっか。じゃあ、関係ないのかなぁ?」

「関係ないって?」

「実はね、私も途中で気付いたんだけど、あの人、あんたの会社の傍からいた気がするんだよね。」

「えーっ!」

ちょっとびっくりはしたけれど、関係ないよね。
私は見覚えないし。



(え……)



「ま、まさか、殺し屋とかじゃないよね?」

不意に頭に浮かんだ恐ろしい想像を私は由香にぶつけた。



「いくらなんでも、殺し屋はないんじゃない?
そんな物騒なことをやるような人には見えないし。」

「で、でも、プロの殺し屋だったら、殺気を消すことだって…」

「考え過ぎだってば。」

その時、柚希さんからのLINEの着信があった。
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