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「……どうかしたの?」

「え?い、いえ、何も…」



(あ…!)



「あ、あの…柚希さんのこと、お聞きして良いですか?」

「僕の?何が知りたいの?」

何がって、私、柚希さんの名前くらいしか知らないのに。



「あの…名前以外のこと、なんでも良いので。」

「あ、そういえば、まだ名前しか言ってなかったね。」

どこか照れくさそうに笑う柚希さん…なんか可愛い。
あ、いかん、いかん。



「年齢は29歳、職業は眼科医、身長は183センチ、趣味は読書と映画鑑賞。
あ、食べることも好きだよ。」

なんと、眼科医だったんだ。
そりゃ、タワマンにも住めるよね。



「あ、好きな食べ物はなんですか?」

言った後で、我ながらつまらない質問をしたなとは思ったけど、ほぼ反射的に聞いてしまってた。



「僕、好き嫌いはないんだ。
なんでも好きだよ。」

「夕食はいつもどうなさってるんですか?」

「外食が多いね。」

ってことは、家政婦さんは雇ってないのかな?



それからも私はいろんなことを訊ねてみた。
けっこう根掘り葉掘りと。
でも、柚希さんは少しも嫌がることなく答えてくれた。
お陰で、柚希さんのことがだいぶわかってきて…
知れば知る程、悪い人には思えないんだけど、私…騙されてるのかな?
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