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ルカ(聖夜月ルカ)

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099 : 100年越しの想い

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『おまえこそ何もわかってはおらんのだ!
私はおまえなどよりもずっと愛情は深い!
愛情故に、今までずっとあの女を殺し続けて来たのだ!
おまえが生きてきた年月よりもずっとずっと長い時をかけて、あの女を殺して来た!
これもすべては、あの女が…』

リュックの言葉があいつの中の何かに火をつけた。



「クロワさんがどうかしたのか…?」

『……おまえには関係のない話だ…』

そう言い残し、あいつは消え去った…



「マルタン、どうしたんだ、あいつ…」

「わからんが…
何か相当深い因縁がありそうだな…」

「そりゃそうだろ?!
そうじゃなきゃ、そんな長い間、クロワさんに…いや、クロワさんの魂につきまとってることはないだろう!」

「その通りだな…」

あいつが見せた異常とも思える憤りが、なぜだか心の奥に深く残った。
奴にも奴なりの理由というものがあるのかもしれない…
それが、たとえ正しいものではないとしても、奴にとっては正しいものなのかもしれない…
私は、その理由を知りたいと思うようになっていた。



「どうしたんだ、マルタン?」

「いや、なんでもない…」

「どうでも良い話だけどな…」

「なんだ?」

「……俺は…
あんたは、きっとクロワさんを殺さなかっただろうと思うよ。」

リュックの思いがけない言葉に、私は一瞬言葉を失った。



「あんたは…きっと、クロワさんを殺さなかった…
いざという時にきっと思い留まったと思うぜ…」

「……いや…
私は、きっと……」

「マルタン、今まで一緒に旅をしてきて俺はあんたという人間をずっと見て来た…
だから、わかるんだ。」

「リュック、君は私をかいかぶりすぎだ。
私は、身勝手な人間なんだ。
ミシェルを助けるためなら、なんだってやったさ…」

「そうじゃない…
もしそうなら、あんたはクロワさんの住む村に着いてすぐに殺ってたはずだ。
なのにあんたはそうはしなかった。
あんたにはわかってたんだ。
それはどんな理由があるにせよ絶対にやってはいけないことだって…」

「……私は…そのことは十分にわかっていて…あえて、やろうとしたんだ…」

「やろうとしたのと実際にやるのとは違う。
あんたは、きっと最後の最後で思いとどまったはずだ。
それが、ミシェルの命を終わらせる選択だとわかっていてもな…」

 
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