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098 : 返還
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「さ…じゃあ、これからはまた新しい気持ちで旅を始めるとするか!
あ、そういえば、マルタンは本当はヴィクトルっていうんだったよな?
これからは、ヴィクトルって呼んだ方が良いか?」
「いや…私は、これからはマルタンで生きていくよ。
クロワさんにつけていただいたこの名前の方が好きなんだ。」
「マルタンさん、少し気になってたんですが…あなたの瞳…」
クロワがそう言いながら、私の瞳をじっとみつけた。
「やっぱり…
マルタンさん!あなた、瞳が…」
「そういえば、両眼ともブルーになってますね。
あなたはつい最近まで、右目は赤っぽいブラウンだったはずだ…
どうしたことだろう?目の色が変わるなんてことはありえないのだが…」
「そうなんですか…?
気がついてませんでした。」
「ま、目の色なんてどうでも良いじゃないか。
たいしたことじゃないさ。」
「そんなことはありません。
私は眼科は専門外ですから、今度、眼科をみつけたら診ていただきましょう。」
「……そうですね。」
検査を受けても異常なしだと言われる事はわかっていた。
しかし、そうすればクロードも納得せざるを得ないはずだ。
原因はわかることはないだろうが、異常がないと言われたら彼もその事実を受け入れるしかないだろう。
*
「マルタン…辛かったな…
でも、きっとこれで良かったんだ。
あんたが、ミシェルのことを考えて決めたことだから、きっとこれで良かったんだと思うぜ。
それで…ミシェルには何を渡して来たんだ?」
「エリーズの…ミシェルの母親のロザリオだ。」
「そうか、あんた達は修道士だったんだな。
そりゃ良かった。
ミシェルのお母さんもきっと喜んでるだろうな。
あんたのロザリオは渡さなかったのか?」
「私は……あの者と関わった時にロザリオは処分した。
あんな者と約束を交わした自分には、ロザリオなんて持つ資格はないと思ったからな。」
『あんな者とは、酷い言い様だな…』
振り向いた先には、またあいつが立っていた…
あ、そういえば、マルタンは本当はヴィクトルっていうんだったよな?
これからは、ヴィクトルって呼んだ方が良いか?」
「いや…私は、これからはマルタンで生きていくよ。
クロワさんにつけていただいたこの名前の方が好きなんだ。」
「マルタンさん、少し気になってたんですが…あなたの瞳…」
クロワがそう言いながら、私の瞳をじっとみつけた。
「やっぱり…
マルタンさん!あなた、瞳が…」
「そういえば、両眼ともブルーになってますね。
あなたはつい最近まで、右目は赤っぽいブラウンだったはずだ…
どうしたことだろう?目の色が変わるなんてことはありえないのだが…」
「そうなんですか…?
気がついてませんでした。」
「ま、目の色なんてどうでも良いじゃないか。
たいしたことじゃないさ。」
「そんなことはありません。
私は眼科は専門外ですから、今度、眼科をみつけたら診ていただきましょう。」
「……そうですね。」
検査を受けても異常なしだと言われる事はわかっていた。
しかし、そうすればクロードも納得せざるを得ないはずだ。
原因はわかることはないだろうが、異常がないと言われたら彼もその事実を受け入れるしかないだろう。
*
「マルタン…辛かったな…
でも、きっとこれで良かったんだ。
あんたが、ミシェルのことを考えて決めたことだから、きっとこれで良かったんだと思うぜ。
それで…ミシェルには何を渡して来たんだ?」
「エリーズの…ミシェルの母親のロザリオだ。」
「そうか、あんた達は修道士だったんだな。
そりゃ良かった。
ミシェルのお母さんもきっと喜んでるだろうな。
あんたのロザリオは渡さなかったのか?」
「私は……あの者と関わった時にロザリオは処分した。
あんな者と約束を交わした自分には、ロザリオなんて持つ資格はないと思ったからな。」
『あんな者とは、酷い言い様だな…』
振り向いた先には、またあいつが立っていた…
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