お題小説

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
620 / 641
097 : 欲望と理性

しおりを挟む
「少し考えさせて下さい。」

「少しなんておっしゃらずに気がすむまでゆっくりお考え下さい。
とても大切なことですからね。」

クロードとクロワは部屋を出て行った。



「困ったもんだな…」

「そうだな…クロワさんにはわかってるけど、あの先生が陽炎の化石のことなんて話しても信じるはずないもんな。
検査の結果を知ったら、先生、きっと驚くだろうなぁ…
それに、あの男のことはクロワさんにも言えないしな…
マルタン、どうするつもりなんだ?」

「どうするって…
私は考えを変えるつもりはないが…」

「その言い訳だよ。
あの先生やクロワさんを説得するのは、難しそうだぞ。
……それと、俺、考えたんだけど…」

「何をだ?」

「あんたが心配してるのは、ミシェルと一緒にいたらあいつがミシェルに何かしないか心配だってことなんだろ?
だが、考えてみればあの男はどこにでも現れることが出来る…それなら、いっそ手許においといた方が安心じゃないか?
あの夫婦にはあいつのことは言えないわけだし、ま、言った所でなにか出来るわけでもないんだが、いざという時は俺達の方がなんとかなりそうな気はしないか?
それに、金のことなら、先生に頼らなくとも俺が働いてやるよ。
そうしたら、あんたはミシェルが大きくなるまでずっと傍にいてやれるじゃないか。
それにクロワさんだっているんだし、ミシェルに寂しい思いをさせることはないと思うんだが…」

リュックの言葉に心が揺らいだ。
ミシェルを手放さずにすむのなら、それに越したことはない。
あの男のこともリュックの言う通りだ。
私と一緒にいなければミシェルは無事だとう保証はどこにもないのだ。



「だ…だが、ミシェルは私のことを忘れてるんだぞ。
彼らのことを本当の両親だと思いこんでるんだぞ!」

「だったら、本当のことを話して聞かせれば良いじゃないか。
おまえは病気のせいでそう思い混んでるだけで、本当は俺の子だって言って聞かせてやれば良いんじゃないか?
実際、あんたとミシェルは実の親子なんだ。
そういうことは、一緒に暮らしているうちにわかってくるんじゃないのか?
それこそ…血ってやつだな。」

「……血か……」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でゆるゆる生活を満喫す 

葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。 もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。 家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。 ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

1ページ劇場④

ルカ(聖夜月ルカ)
大衆娯楽
お題に沿って書いた1ページのSSです。 ジャンルは様々です。

小林結城は奇妙な縁を持っている

木林 裕四郎
ファンタジー
「谷崎町の山奥にある古屋敷に行けば、奇妙な事件を解決してくれる」 そんな噂を耳にした人々が、今日も古屋敷の前へとやって来る。 だが本当に奇妙なのは、そこに住まう者たちだった。 小林結城と、彼の持つ不思議な縁に引き寄せられて集まった仲間たち。

転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました

平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。 しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。 だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。 まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。

精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない

よっしぃ
ファンタジー
俺には僅かながら魔力がある。この世界で魔力を持った人は少ないからそれだけで貴重な存在のはずなんだが、俺の場合そうじゃないらしい。 魔力があっても普通の魔法が使えない俺。 そんな俺が唯一使える魔法・・・・そんなのねーよ! 因みに俺の周囲には何故か精霊が頻繁にやってくる。 任意の精霊を召還するのは実はスキルなんだが、召喚した精霊をその場に留め使役するには魔力が必要だが、俺にスキルはないぞ。 極稀にスキルを所持している冒険者がいるが、引く手あまたでウラヤマ! そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。 そんなある日転機が訪れる。 いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。 昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。 そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。 精霊曰く御礼だってさ。 どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。 何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ? どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。 俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。 そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。 そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。 ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。 そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。 そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ? 何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。 因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。 流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。 俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。 因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?

異世界3姉妹の日常と冒険物語

き・そ・あ
ファンタジー
普通の女子高生がとある事情で異世界へ。異世界での妹、現実世界の妹、異世界で出来た友人たち。 神の持つ武器、魔剣、最大級の魔力をもつ妹に振り回されながら生活します。次女は性格に難があったり、破壊的な三女に振り回されながらも、亡き前領主の代わりに領地を守ったり、こっそり冒険に言ったりと、日常的な部分から、冒険まで様々です。少しづつ3姉妹も成長していくようにしたいので、ゆっくりと考え方に変化が生まれたり、周りの人間に感化されたりしていきます。細かなところでは短編でお祭りなどのイベントでなにかあったりします。 最初は街のそばだけでも、次第に近隣の国家、果てには精霊界などにも行けるようになり、お宝探し、ダンジョン攻略、剣や魔法が使えるようになります。恋愛要素は、あまり含んでいないです。女の子が3人主人公ですが、さほどエロは含まれません。 一気に見せ場がきたり、いきなり派手な魔法が使えないため、進行が遅いです。(特に1章) 中世、西洋が基本の舞台です。 王宮に仕える魔法使い、騎士、薬剤師などが存在する世界。科学、というのは少ないです。 科学よりも魔法が進んだ世界を舞台に描いていきます。 普通の女の子たちなので、魔法の説明(3章)などは、その場面が来ないと書かれません。 成長する3姉妹を一緒に見守ってくださるとありがたいです。 ※ 毎月1日、15日の更新を頑張っています。遅くなることもあるかもしれませんが、暖かく見守ってくださいm(_ _)m 立ち止まってくださったみなさん、ありがとうございます。少しでも気になったら、ぜひまた来てくださいね! 一言でも感想や、こうしたらいいかも。的なものをいただけると喜びます(▽・w・▽)

悪役令嬢に転生したら、勇者に師匠扱いされました(;゜∇゜)

はなまる
ファンタジー
乙女ゲームに転生した私。 しかも悪役令嬢らしい。 だけど、ゲーム通りに進める必要はないよね。 ヒロインはとってもいい子で友達になったし、攻略対象も眺め放題。 最高でした。 ...... 勇者候補の一人から師匠扱いされるまでは。 最初は剣と魔法のファンタジー。 少しずつ恋愛要素が入ってくる予定です。

処理中です...