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ルカ(聖夜月ルカ)

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095 : 修道院

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「少し、考えさせて下さい…」

そう言うのがやっとだった。



「マルタン、早くミシェルに会わせてもらえよ!」

「それは…!」

ミシェルの顔を見たら、私が絶対に彼のことを手放さないと言うことがわかったのだろう。
夫人は酷く不快な顔を見せた。



「お願いです。
私をミシェルに会わせて下さい。
二人っきりで…
ほんの数分でけっこうですから…」

主人は少し考えていたようだったが、おもむろに立ち上がり私を奥の部屋に案内してくれた。




「ありがとうございます。感謝します。」

扉の向こうには、ミシェルがいた。



別れた時よりもずいぶん大きくなっていることに驚いた。
元々、エリーズに似ていたが、大きくなってその面影が一層色濃く出ている。



「ミシェル…」

すやすやと眠る我が子に頬を寄せる。
久しぶりに触れるすべらかな肌の温もりに、涙がこぼれた。
持ち上げた身体の重みも、私の覚えていたものよりもずっと重くなっていた。
私は、クロワから預かっていた陽炎の石の粉末を彼に飲ませた。
どうか、この石が効いてくれますように…と、祈りながら…

再び、彼をベッドにそっと寝かしつけた。
どのくらいで、石の効果が現れるのだろう?
私はそんなことを考えながら、彼の寝顔をじっとみつめていた。
その時…ゆっくりと彼の目が開いたのだ。
私と同じ色の彼の瞳が…



「ミシェル!!」


思わず声をあげた私に気付いたのか、皆がその場に集まった。



「ミ…ミシェル…!!」



夫妻は、目を開けたミシェルに、身動きも出来ない程に驚いていた。
ミシェルは、部屋の中をゆっくりと見回しながら、どこか微笑んだような顔をして真っ白な手を差し伸べ、小さな声で呟いた。



「パパ…」
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