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095 : 修道院
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「ずっと、意識が戻らないということですが…
おそらく、脳内になんらかの異常が起きているのでしょう。
頭の中のことは、きちんと検査しなくてはわかりませんから、しっかりとした設備のある大きな病院へ連れていきましょう。」
「このあたりに、大きな病院はないと思うのですが…」
「しかし、ただ、寝かせておくだけというのは危険です。
意識の回復しない原因を調べなければ…」
「もうあれからずいぶん経ってるんだし、行ってみたら意外と元気にしてたりしてな!」
「それなら良いのですが…」
やがて、白々と夜が明け、明るい太陽が顔を出した。
ミシェルの身に何事もありませんように…!と祈りながら、私達は夫妻の家を訪ねた。
「どなたですか?」
顔を出したのは、私と同じくらいの年格好の男性だった。
「初めまして。私は…」
私は自分の身の上を簡単に説明した。
ミシェルの父親だということを明かしたのだ。
男性の後ろにいた女性が、それを聞いてヒステリックに叫んだ。
「帰って下さい!!
ミシェルは…あの子はもう私達の子供です!
あなたはこんなにも長い間あの子のことを放っておいて、今更、父親面をするつもり?!
そんな人にあの子は渡さないわ!帰って!!」
「ちょっと待てよ!
マルタン…いや、ヴィクトルだって、わざと放ってたわけじゃないんだ。
事故にあって、記憶を失ってしまって、それで…」
「事故に…?
そんなこと、でたらめよ!
あなたはあの子を捨てたんだわ。
帰って!!帰って下さい!!」
女性は、泣きながら私の身体を押し戻そうとする。
「やめなさい。アデル。
……お話をお聞きしましょう。
どうぞ、中へ…」
「あなた…!!」
男性は夫人をなだめながら、私達を部屋の中へ通してくれた。
通された広くて清潔な居間で、私はここに来た経緯を話した。
主人の話によると、ミシェルはあれから一度も目を覚ますことなくずっと眠り続けたままだという。
おそらく、脳内になんらかの異常が起きているのでしょう。
頭の中のことは、きちんと検査しなくてはわかりませんから、しっかりとした設備のある大きな病院へ連れていきましょう。」
「このあたりに、大きな病院はないと思うのですが…」
「しかし、ただ、寝かせておくだけというのは危険です。
意識の回復しない原因を調べなければ…」
「もうあれからずいぶん経ってるんだし、行ってみたら意外と元気にしてたりしてな!」
「それなら良いのですが…」
やがて、白々と夜が明け、明るい太陽が顔を出した。
ミシェルの身に何事もありませんように…!と祈りながら、私達は夫妻の家を訪ねた。
「どなたですか?」
顔を出したのは、私と同じくらいの年格好の男性だった。
「初めまして。私は…」
私は自分の身の上を簡単に説明した。
ミシェルの父親だということを明かしたのだ。
男性の後ろにいた女性が、それを聞いてヒステリックに叫んだ。
「帰って下さい!!
ミシェルは…あの子はもう私達の子供です!
あなたはこんなにも長い間あの子のことを放っておいて、今更、父親面をするつもり?!
そんな人にあの子は渡さないわ!帰って!!」
「ちょっと待てよ!
マルタン…いや、ヴィクトルだって、わざと放ってたわけじゃないんだ。
事故にあって、記憶を失ってしまって、それで…」
「事故に…?
そんなこと、でたらめよ!
あなたはあの子を捨てたんだわ。
帰って!!帰って下さい!!」
女性は、泣きながら私の身体を押し戻そうとする。
「やめなさい。アデル。
……お話をお聞きしましょう。
どうぞ、中へ…」
「あなた…!!」
男性は夫人をなだめながら、私達を部屋の中へ通してくれた。
通された広くて清潔な居間で、私はここに来た経緯を話した。
主人の話によると、ミシェルはあれから一度も目を覚ますことなくずっと眠り続けたままだという。
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