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095 : 修道院
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*
「神父様、お久しぶりです。」
「あなたは…ヴィクトルさん!!」
私は、神父に今まで戻れなかった事情を話し、ミシェルの病気を治せるかもしれないとクロード医師を紹介した。
神父は迷っていたようだが、しばらく考えた後に、ミシェルを引き取った夫婦の家を教えてくれた。
それは、ここから二つ程先の町だった。
馬車に乗り、夜通し走ってもらったおかげで、次の日の夜明け近くには町に着いた。
教えてもらった夫婦の家もすぐにみつかった。
「町外れの赤い屋根、間違いないぜ。
ここだ!マルタン、さぁ、早く行こうぜ!」
「いくらなんでもこんな時間に行くのはまずいだろう。
見た所、おかしな所もなさそうだし、きっと奴はここには来ていないのだと思う。
あと数時間待って、夜が明けてからにしよう。」
「相変わらず、あんたは冷静だな…」
私達は、夫婦の家のすぐそばの木陰に腰を降ろした。
*
「では、マルタンさんは、病気のお子さんを有名なお医者様に診てもらうよう頼みに行く途中で事故に…」
リュックの作り話をクロワやクロードは素直に信じたようだ。
「……そうなんです。
その医者は、診てもらうのに高額な金がかかるということでしたが、私は金は後で必ず払うからなんとかミシェルを診てもらえないかと頼みに行く途中で、事故にあってしまったのです。」
私はリュックの話に口裏を合わせた。
「しかし、あのあたりにそんな優秀な医師がいたかなぁ?
その先生のお名前はなんとおっしゃるのですか?」
「え…と、た、確か、シャルル医師だったと思いますが…」
クロードからの思わぬ質問に、私はうろたえてしまった。
「シャルル?姓はなんとおっしゃるのです?」
「…それは、聞きませんでした。」
「き、きっと、ガセネタだったんだな。
マルタンはその話を町の噂で耳にしたんだろ?」
「そ、そうなんだ!」
「馬鹿だなぁ…
あんた、いいかげんな噂に振りまわされて、そんな所に向かったから、事故なんかにあうんだぜ。
まぁ、マルタンも子供のためにそれだけ必死だったってことだな。」
リュックのおかげで、クロードの疑問はなんとか誤魔化すことが出来た。
「神父様、お久しぶりです。」
「あなたは…ヴィクトルさん!!」
私は、神父に今まで戻れなかった事情を話し、ミシェルの病気を治せるかもしれないとクロード医師を紹介した。
神父は迷っていたようだが、しばらく考えた後に、ミシェルを引き取った夫婦の家を教えてくれた。
それは、ここから二つ程先の町だった。
馬車に乗り、夜通し走ってもらったおかげで、次の日の夜明け近くには町に着いた。
教えてもらった夫婦の家もすぐにみつかった。
「町外れの赤い屋根、間違いないぜ。
ここだ!マルタン、さぁ、早く行こうぜ!」
「いくらなんでもこんな時間に行くのはまずいだろう。
見た所、おかしな所もなさそうだし、きっと奴はここには来ていないのだと思う。
あと数時間待って、夜が明けてからにしよう。」
「相変わらず、あんたは冷静だな…」
私達は、夫婦の家のすぐそばの木陰に腰を降ろした。
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「では、マルタンさんは、病気のお子さんを有名なお医者様に診てもらうよう頼みに行く途中で事故に…」
リュックの作り話をクロワやクロードは素直に信じたようだ。
「……そうなんです。
その医者は、診てもらうのに高額な金がかかるということでしたが、私は金は後で必ず払うからなんとかミシェルを診てもらえないかと頼みに行く途中で、事故にあってしまったのです。」
私はリュックの話に口裏を合わせた。
「しかし、あのあたりにそんな優秀な医師がいたかなぁ?
その先生のお名前はなんとおっしゃるのですか?」
「え…と、た、確か、シャルル医師だったと思いますが…」
クロードからの思わぬ質問に、私はうろたえてしまった。
「シャルル?姓はなんとおっしゃるのです?」
「…それは、聞きませんでした。」
「き、きっと、ガセネタだったんだな。
マルタンはその話を町の噂で耳にしたんだろ?」
「そ、そうなんだ!」
「馬鹿だなぁ…
あんた、いいかげんな噂に振りまわされて、そんな所に向かったから、事故なんかにあうんだぜ。
まぁ、マルタンも子供のためにそれだけ必死だったってことだな。」
リュックのおかげで、クロードの疑問はなんとか誤魔化すことが出来た。
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