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095 : 修道院
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そうだ…あれがあれば、クロワを殺すことなくミシェルを助けることが出来る…!!
もしかしたら、私のこの長い旅は、本当に神からの贈り物だったのではないかという気がしてきた。
時間はかかったが、そのおかげで私は自分の手を汚すことなく、ミシェルを助けることが出来る…
ジャクリーヌを救えなかったのも、すべてはこのシナリオのためだったのかと思うと胸が痛んだが、それでも、ミシェルを救えるということが私は嬉しくてたまらなかった…
なんと自分勝手な想いなのだろう…
ジャクリーヌを救えなかった時はあれほど苦しんだのに、そのことで息子の命が救えると思うと陽炎の石が残っていたことをこんなにもありがたく感じてしまう。
(ジャクリーヌ、赦してくれ…)
私は神とジャクリーヌに祈りを捧げた。
「マルタン、お祈りは後だ。
早く、クロワさんの所に…!」
「あ…あぁ、そうだな。」
涙を拭い、立ちあがろうとした時、右目が激しく痛んだ。
「あ……あぁ…目が……!!」
「どうした、マルタン!!」
あまりの激痛に膝をついた私にリュックが駆け寄った。
その時だった。
私達の後ろから、低い笑い声が聞こえてきたのだ。
「だ、誰だ!
おまえ、どこから入って来やがった!」
そこに立っていたのは、真っ黒なローブに身を包んだ男…
「お…おまえは…!!」
『……久しぶりだな、ヴィクトル。
いや、今はマルタンと呼んだ方が良いのか…』
目の痛みは不意におさまった。
「マルタン、こいつ、まさか…!」
リュックもその男の正体に気付いたようだ。
『久しぶりとは言ったが、本当はそうではない。
おまえは気付いていなかったようだが、私はずっとおまえと一緒にいたのだ。』
「な、なんだと!?」
『おまえがあんな事故に遭うとは予想外だったな。
だが、興味のあることでもあった。
記憶を失ったおまえがどうなっていくのかがな。
だから、私はあれからおまえの片目に宿り、ずっとおまえの行動をみていたのだ。』
「私の片目に…?!」
もしかしたら、私のこの長い旅は、本当に神からの贈り物だったのではないかという気がしてきた。
時間はかかったが、そのおかげで私は自分の手を汚すことなく、ミシェルを助けることが出来る…
ジャクリーヌを救えなかったのも、すべてはこのシナリオのためだったのかと思うと胸が痛んだが、それでも、ミシェルを救えるということが私は嬉しくてたまらなかった…
なんと自分勝手な想いなのだろう…
ジャクリーヌを救えなかった時はあれほど苦しんだのに、そのことで息子の命が救えると思うと陽炎の石が残っていたことをこんなにもありがたく感じてしまう。
(ジャクリーヌ、赦してくれ…)
私は神とジャクリーヌに祈りを捧げた。
「マルタン、お祈りは後だ。
早く、クロワさんの所に…!」
「あ…あぁ、そうだな。」
涙を拭い、立ちあがろうとした時、右目が激しく痛んだ。
「あ……あぁ…目が……!!」
「どうした、マルタン!!」
あまりの激痛に膝をついた私にリュックが駆け寄った。
その時だった。
私達の後ろから、低い笑い声が聞こえてきたのだ。
「だ、誰だ!
おまえ、どこから入って来やがった!」
そこに立っていたのは、真っ黒なローブに身を包んだ男…
「お…おまえは…!!」
『……久しぶりだな、ヴィクトル。
いや、今はマルタンと呼んだ方が良いのか…』
目の痛みは不意におさまった。
「マルタン、こいつ、まさか…!」
リュックもその男の正体に気付いたようだ。
『久しぶりとは言ったが、本当はそうではない。
おまえは気付いていなかったようだが、私はずっとおまえと一緒にいたのだ。』
「な、なんだと!?」
『おまえがあんな事故に遭うとは予想外だったな。
だが、興味のあることでもあった。
記憶を失ったおまえがどうなっていくのかがな。
だから、私はあれからおまえの片目に宿り、ずっとおまえの行動をみていたのだ。』
「私の片目に…?!」
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