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095 : 修道院
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「クロワさん、最近少し神経が高ぶっているようなので、よく眠れる薬をいただけませんか?」
「マルタンが眠れないなんてことがあるのか?
本当にどうしたんだ。
大丈夫か?」
「あぁ、きっと一時的なものだ。
すぐに治ると思う。」
私はクロワから眠り薬をもらい、横になった。
考えなければ、思い出すこともないだろうというごく安直な思いからだった。
*
クロワの薬のおかげで、その晩は夢さえ見ることなく熟睡出来た。
早くに横になったためか身体の疲れもとれたような気がして、気分も少し楽になっていた。
やはり、あれは私達の後ろにいた修道士に声をかけたものなのだ…なんとなくそう思えるようになっていた。
私達は、いつものように朝食を食べるとすぐに町を出た。
隣町までは、思ったよりも距離があり、着いたのは夜も更けてからのことだった。
「ずいぶん遅くなっちまったな。」
「でも、真夜中じゃなくてまだ良かったじゃない。
それにリュック、ここよ。この町に大聖堂があるはずよ!」
「そうだったな!
暗いせいか、全然わからなかったけど…どこにあるんだろうな?!」
「リュック、とりあえず、宿を探さないと…
夕食はまだいただけるのかしら?」
「そうだな。早く探そう!
夕食にありつけなくなったら困るもんな。」
宿を探し、町の中を歩いている時のことだった。
「ずいぶんと遅かったんですね!
待ちたびれましたよ!」
振返ると、そこにはクロードがにこやかな笑顔で立っていた。
「先生!どうしたんだ?!
こんな所で…!!」
クロードはリュックの言葉に静かに笑った。
「まずは宿へ…
そこで、飲みながらゆっくりお話しましょう。」
クロードに着いて、私達は宿に向かった。
クロワは、信じられないといった風体で小さく首を振っていた。
クロードの泊まっている宿はその場所からすぐだった。
もう何日も前から泊まっているらしく、クロードは宿の主人とも親しげに言葉を交わしていた。
私達は、部屋に荷物を置き、一階の食堂兼酒場で夕食を摂った。
「マルタンが眠れないなんてことがあるのか?
本当にどうしたんだ。
大丈夫か?」
「あぁ、きっと一時的なものだ。
すぐに治ると思う。」
私はクロワから眠り薬をもらい、横になった。
考えなければ、思い出すこともないだろうというごく安直な思いからだった。
*
クロワの薬のおかげで、その晩は夢さえ見ることなく熟睡出来た。
早くに横になったためか身体の疲れもとれたような気がして、気分も少し楽になっていた。
やはり、あれは私達の後ろにいた修道士に声をかけたものなのだ…なんとなくそう思えるようになっていた。
私達は、いつものように朝食を食べるとすぐに町を出た。
隣町までは、思ったよりも距離があり、着いたのは夜も更けてからのことだった。
「ずいぶん遅くなっちまったな。」
「でも、真夜中じゃなくてまだ良かったじゃない。
それにリュック、ここよ。この町に大聖堂があるはずよ!」
「そうだったな!
暗いせいか、全然わからなかったけど…どこにあるんだろうな?!」
「リュック、とりあえず、宿を探さないと…
夕食はまだいただけるのかしら?」
「そうだな。早く探そう!
夕食にありつけなくなったら困るもんな。」
宿を探し、町の中を歩いている時のことだった。
「ずいぶんと遅かったんですね!
待ちたびれましたよ!」
振返ると、そこにはクロードがにこやかな笑顔で立っていた。
「先生!どうしたんだ?!
こんな所で…!!」
クロードはリュックの言葉に静かに笑った。
「まずは宿へ…
そこで、飲みながらゆっくりお話しましょう。」
クロードに着いて、私達は宿に向かった。
クロワは、信じられないといった風体で小さく首を振っていた。
クロードの泊まっている宿はその場所からすぐだった。
もう何日も前から泊まっているらしく、クロードは宿の主人とも親しげに言葉を交わしていた。
私達は、部屋に荷物を置き、一階の食堂兼酒場で夕食を摂った。
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