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ルカ(聖夜月ルカ)

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094 : 名声と恋

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二日間はあっという間だった。
 私達はクロワより一日早く辞め、その晩は宿屋に泊まることにした。
こうしておけば、朝早くに出発出来るからだ。



出発の朝、私達が宿を出るとちょうどクロワが宿に着いた所だった。



「おはよう、クロワさん!
あれ…?先生は来てないのか?」

「ええ…先生は、朝早くに用があるとかで出ていかれました。」

「そうか…」

おそらくクロワとの別れが切なかったのだろう…
それでそんな口実を設けて出掛けたのではないかと思われた。



「じゃあ、行きましょうか…」

私達は思いがけず長居をしてしまった町を後にした。



「けっこう良い町だったな。」

「そうね…」

「クロワさん、次の町はどのくらいで着きそうですか?」

「多分、暗くなるまでには着けると思いますよ。
この道は乗合馬車もあるようですから、それに乗ればもっと早くに着きますが…」

「急ぐ旅じゃないんだ。
ゆっくりで良いじゃないか。
金はあっても節約するに限る!」

「そうね!
海底神殿を探すには、まだまだお金がかかりそうですもんね。
当分小さな町しかなさそうだから、働けそうにもないし。」

クロワの言う通り、地図を見た限りではここしばらくは小さな町ばかりが続くようだ。
そういう小さな町を通り過ぎると、やっとリュックの見たがっていた大聖堂のある町に着く。
そこまではのんびりと旅を続けるつもりだ。







 無理をしているのかどうかはよくわからなかったが、クロワにはその後もこれといって変わった様子は見受けられなかった。
お互いに、軽い憧れのような恋心を抱いただけだったのか、クロワにはそれすらもなかったのか…
リュックももうクロードのことは口にする事もなくなっていた。

町から町をただ渡り歩く平穏な日々が続いた。



「もうすぐだな!
ついに噂の大聖堂が見られるんだな!」

「そうね。
この町を越えたら、すぐみたいよ!
明日かあさってには着くんじゃないかしら?
そういえば、このあたりは修道士さんが多いわね。
聖堂が近いせいかしら?」

夕方になり、私達は辿り着いた小さな町の宿屋に泊まることにした。



「先にどこかで夕食を食べて行こうか?」

「そうね!
そうしましょう!」



どこか落ち着ける店はないかと探している時だった……



「ブラザーヴィクトル!
あなたは、ブラザーヴィクトルではありませんか!?」



修道士の男が私達に向かい、そう声をかけてきた。 

 
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