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ルカ(聖夜月ルカ)

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094 : 名声と恋

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 「クロワさん、今週末もマルタンさん達はお忙しいのですか?」

「そのようです。
最近はずっとお忙しいみたいで…」

「では…どうします?
また薬草でも採りに行きますか?」

「そうですね。
そうしましょうか?」

マルタン達と会えなくなったクロワは、最近の週末はずっとクロードと一緒だった。
クロードの実家を訪ねたり、診療所の書類の整理をしたり薬草を採りにでかけたり…
その間に、クロードのクロワに対する想いは、より深いものへと変化していた。







「先生、そろそろランチにしましょうか。」

「もう、そんな時間なんですね。
では、あそこの木陰で休みましょうか。」



クロワとクロードは、大きな木の下でクロワの持って来たバスケットを広げた。



「クロワさんは料理がうまいですね。
うちの母は、ご存知の通り、パイだけなんですよ。」

「先生のお宅にはシェフがいらっしゃいますもの。
お料理を作る必要なんてないじゃないですか。」

「いえ、母は元々料理は好きじゃなかったそうです。
家事もあまり好きじゃないそうで、そういう意味では父と結婚して良かったといってましたよ。
そういうことをしなくてもすむからって…」

「人には向き不向きがあります。
私は、家事くらいしか出来ませんから。」

「そんなことは、ないですよ。
あなたは薬草の知識に長けていらっしゃるじゃないですか。
働き者だし、誰に対しても親切だし、よく気が付かれる…患者さん達にもとても評判が良いんですよ。」

「私に出来るのはそのくらいのことだけですから…」

「あなたはもっとご自分に対して自信を持つべきですよ。
あなたはとても素晴らしい方なのですから…」

「先生、やめて下さい!
私は…そんな女ではないんです。
私は…本当は…」

クロワは感情的な声を上げ、その感情を押さえようとするかのように唇をきつく噛みしめた。



「クロワさん…よかったらすべてを話して下さい。
あなたの心の底に巣食う闇の部分をすべて私に教えて下さい。」

クロワは俯いたまま、何も答えなかった。



「私では駄目ですか?
クロワさん…私はあなたを真剣に愛しています。
あなたの心の闇も私が治してあげたいのです。」

「やめて下さい!!
そんな言葉…私には、そんなことを言われる資格はないんです。
私は愛される資格なんてないんです!!」

クロワは叫ぶようにそう言うと、自分の耳を両手で塞ぎ俯いた。 
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