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ルカ(聖夜月ルカ)

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094 : 名声と恋

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 「じゃあ、頼むな!」

「わかった!まかしとけ!」



リュックが、診療所に行く男に何事かを話していた。



「どうかしたのか?」

「あぁ、クロワさんに伝言を頼んだんだ。
今週末は、俺とマルタンはちょっと用が出来て町に行けないってな。」

「用事?そんなもの、何かあったか?」

「ないに決まってんだろ!
気をきかせてやってるんだよ。
クロワさんがあの先生と楽しめるようにな。」

「なるほど…そういうことか…」

リュックは、先日クロードの両親に会って以来、クロワさんとクロード医師との縁談を本格的に進める気になったようだ。
そのことについては私も異論はなかったが、何に対しても行動的なリュックのことだ。
やりすぎなければ良いのだが…
私の心配をよそに、リュックはその後も毎週クロワへの伝言を頼んだ。







町にでかけて偶然クロワに会っても困る…私達は、週末を宿舎にこもって過ごしていた。
いつもほとんどでかけていたのでわからなかったのだが、休みになってもどこにも行かず宿舎で過ごしている者達は意外に多かった。
 私達は、そういう仲間達と昼過ぎから酒を酌み交わし、他愛ない話に花を咲かせ、それなりに楽しい時を過ごした。



「なに~?海底神殿だぁ?
変わったもんを探してるんだな!
本当にそんなもん、あるのか?」

「そりゃあまぁ突拍子もない話だが、完全にないとも言えねぇぜ!
第一、それを見たって人もいるんだから!」

「海の底の神殿を見た?
それは、魚の友達か?それとも人魚か?」

男達はそんな冗談を言ってはどっと笑った。



「笑いたけりゃあ笑うが良いさ!
でも、本当にいるんだぞ!
しかも、どえらい大聖堂を設計した建築家だって話だぞ!」

「……あ……思い出した!
俺、その話、知ってるぞ!
言われてみりゃあ、あの大聖堂は何か普通じゃないもんなぁ…」

「あんた!大聖堂に行った事があるのか?」

「あるぜ!もうずいぶん前のことだが、いまだにはっきりと覚えてるぜ!
あんなすごい建物を見たのは、初めてだったからな!」

「そんなにすごいのか…
実は、俺達もそこへ行ってみようと思ってるんだ。」

「そりゃあ良い。
あんな建物はめったに見られるもんじゃないからな。
一生、忘れられない思い出になると思うぜ。」

「そうか、そんなにすごいんだな。
早く行ってみたいもんだな、マルタン!」

「そうだな…」

 
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