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094 : 名声と恋
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*
「クロワさん、お味はいかがかしら?
こっちのも召しあがって下さいね。
このお肉もとても良いものなんですよ。」
「はい、どれもとても美味しいです。
どうもありがとうございます。」
「母さん、そんなにせっつかれては、クロワさんも落ちついて食べられませんよ。」
「あら、私ったら…クロワさん、ごめんなさいね。
クロードが女性をここへお連れするなんてこと、初めてなもんですから、なんだか舞いあがってしまって。」
クロードの母親は、クロワが困惑する程良くしゃべった。
「母さん、余計なことは言わないで下さいよ。」
「何が余計なことですか。
クロワさん、聞いて下さい。
この子は、病気や患者さんのこと以外には全然目が向かない子でしてね。
家にもめったに帰って来ない、帰って来たかと思ったら部屋に閉じこもって調べものばかり。
良いお話があっても、絶対に会おうとしないし、本当に困ったもんだと頭を抱えていたんですよ。
この人なんて、もうクロードの結婚のことは諦めたなんて言いましてね…
そんなクロードが、最近、家に戻る度にあなたのお話ばかりをするようになって、それで、私、あなたにお会いするのを楽しみにしてたんですけど、やっとお会い出来たもんですから、もう嬉しくて…」
「……母さんは本当におしゃべりなんだから…」
クロードはそう言いながら、苦い笑みを浮かべた。
「良いじゃないの。
別に嘘を言ってるわけじゃないんですから…」
「あ…あの…私…
ちょっと用を思い出したので…申し訳ありませんが、失礼します。」
クロワは、突然立ちあがりそう言ったかと思うと、他の者達が呆気に取られているうちに部屋から飛び出した。
*
「クロワさん!待って下さい!」
「すみません、先生…私…」
「待って下さい!
母の話が気に障ったのなら、謝ります。
ですが、さっきの話は嘘ではありません。
僕は、あなたのことが…」
「やめて下さい!!」
「……僕のことがお嫌いですか?」
「……そういうことではありません。」
「クロワさん、お味はいかがかしら?
こっちのも召しあがって下さいね。
このお肉もとても良いものなんですよ。」
「はい、どれもとても美味しいです。
どうもありがとうございます。」
「母さん、そんなにせっつかれては、クロワさんも落ちついて食べられませんよ。」
「あら、私ったら…クロワさん、ごめんなさいね。
クロードが女性をここへお連れするなんてこと、初めてなもんですから、なんだか舞いあがってしまって。」
クロードの母親は、クロワが困惑する程良くしゃべった。
「母さん、余計なことは言わないで下さいよ。」
「何が余計なことですか。
クロワさん、聞いて下さい。
この子は、病気や患者さんのこと以外には全然目が向かない子でしてね。
家にもめったに帰って来ない、帰って来たかと思ったら部屋に閉じこもって調べものばかり。
良いお話があっても、絶対に会おうとしないし、本当に困ったもんだと頭を抱えていたんですよ。
この人なんて、もうクロードの結婚のことは諦めたなんて言いましてね…
そんなクロードが、最近、家に戻る度にあなたのお話ばかりをするようになって、それで、私、あなたにお会いするのを楽しみにしてたんですけど、やっとお会い出来たもんですから、もう嬉しくて…」
「……母さんは本当におしゃべりなんだから…」
クロードはそう言いながら、苦い笑みを浮かべた。
「良いじゃないの。
別に嘘を言ってるわけじゃないんですから…」
「あ…あの…私…
ちょっと用を思い出したので…申し訳ありませんが、失礼します。」
クロワは、突然立ちあがりそう言ったかと思うと、他の者達が呆気に取られているうちに部屋から飛び出した。
*
「クロワさん!待って下さい!」
「すみません、先生…私…」
「待って下さい!
母の話が気に障ったのなら、謝ります。
ですが、さっきの話は嘘ではありません。
僕は、あなたのことが…」
「やめて下さい!!」
「……僕のことがお嫌いですか?」
「……そういうことではありません。」
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