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094 : 名声と恋
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「いらっしゃい!
あなたが、クロワさんね!
待ってたのよ。さぁ、中へどうぞ!」
「は、はいっっ!」
元気の良い婦人に促され、クロワが中へ入ると屋敷の中も外観以上に素晴らしいものだった。
壁紙や床材一つとっても、高級な素材が使われている事がわかる。
(すごい…本当にすごいお金持ちだわ!
きっと、こちらのお祖父様かお祖母様がご病気なのね。)
通されたのは居心地の良い居間だった。
良い風が通り明るいその部屋には、アンティークな雰囲気の家具が趣味良く配置され、クロワは、座りごこちの良い長椅子をすすめられた。
「本当に良く来て下さいました。
感謝しますよ、クロワさん。」
「そんな感謝だなんて…」
「あなたは、週末はいつもご用時がおありなのに、わざわざ来ていただいたんですから。
本当にどうもありがとう。
今夜はどうぞゆっくりしていって下さいね。
クロード、一休みしたらお庭の方でもご案内したら?
クロワさん、今、薔薇の花がすごく綺麗なんですよ。」
「ええ、そうします。
母さん、夕食はおいしいものを頼みますよ。」
「わかってますよ。
シェフにはもう以前から、最高の食材を用意してもらってますからね。」
(…先生…今、「母さん」って…)
*
「クロワさん、ここは母の自慢の薔薇園なんですよ。
庭師に任せることもせず、自分で世話をしてるんです。」
「先生…!
先程、あの方を『母さん』って、お呼びになってましたよね?
もしかしたら…ここは先生のご自宅なんですか?」
「そうですよ。」
「では、会って欲しい人っていうのは…?」
「両親です。
僕がここへ戻る度に、あなたの話をするもんだから、両親がぜひあなたに会ってみたいと言い出しましてね。」
「……そうなんですか…」
(先生ったら…
一体、どんなことをおっしゃったのかしら?)
「両親もあんなに喜んでくれました。
クロワさん、本当にありがとうございます。」
「せ、先生ったら、何をおっしゃってるんですか。
こちらこそ、こんな素晴らしいお屋敷にご招待していただいて、それに、こんな美しいお庭まで見せていただいて…ありがとうございます。」
あなたが、クロワさんね!
待ってたのよ。さぁ、中へどうぞ!」
「は、はいっっ!」
元気の良い婦人に促され、クロワが中へ入ると屋敷の中も外観以上に素晴らしいものだった。
壁紙や床材一つとっても、高級な素材が使われている事がわかる。
(すごい…本当にすごいお金持ちだわ!
きっと、こちらのお祖父様かお祖母様がご病気なのね。)
通されたのは居心地の良い居間だった。
良い風が通り明るいその部屋には、アンティークな雰囲気の家具が趣味良く配置され、クロワは、座りごこちの良い長椅子をすすめられた。
「本当に良く来て下さいました。
感謝しますよ、クロワさん。」
「そんな感謝だなんて…」
「あなたは、週末はいつもご用時がおありなのに、わざわざ来ていただいたんですから。
本当にどうもありがとう。
今夜はどうぞゆっくりしていって下さいね。
クロード、一休みしたらお庭の方でもご案内したら?
クロワさん、今、薔薇の花がすごく綺麗なんですよ。」
「ええ、そうします。
母さん、夕食はおいしいものを頼みますよ。」
「わかってますよ。
シェフにはもう以前から、最高の食材を用意してもらってますからね。」
(…先生…今、「母さん」って…)
*
「クロワさん、ここは母の自慢の薔薇園なんですよ。
庭師に任せることもせず、自分で世話をしてるんです。」
「先生…!
先程、あの方を『母さん』って、お呼びになってましたよね?
もしかしたら…ここは先生のご自宅なんですか?」
「そうですよ。」
「では、会って欲しい人っていうのは…?」
「両親です。
僕がここへ戻る度に、あなたの話をするもんだから、両親がぜひあなたに会ってみたいと言い出しましてね。」
「……そうなんですか…」
(先生ったら…
一体、どんなことをおっしゃったのかしら?)
「両親もあんなに喜んでくれました。
クロワさん、本当にありがとうございます。」
「せ、先生ったら、何をおっしゃってるんですか。
こちらこそ、こんな素晴らしいお屋敷にご招待していただいて、それに、こんな美しいお庭まで見せていただいて…ありがとうございます。」
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