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ルカ(聖夜月ルカ)

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093 : 平穏な街

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 「ただいま!」

「おかえり!
クロワさん、何を買いに行ってたんだい?」

「…え?…あぁ…そう!果物が食べたいと思ったんだけど、見てみたらあんまり食べたいのがなくて…」

「珍しいな。クロワさんがそんな食べ物に関心を示すなんて。」

「私だってたまにはそんな時もあるわよ。」

「まぁ、その方が人間らしいけどな。
そうそう、クロワさん、今、マルタンと話してたんだけどな。
この町はけっこう大きいじゃないか。
路銀も少なくなって来た事だし、ちょっとこの町で働こうかと思うんだがどう思う?」

「それは良いじゃない!
実は、私も同じことを考えてて、もう働き口も見つけてきた所なの!」

「もう働き口も決まったって?
えらく素早いな!
で、どこで働くんだ?」

「診療所よ。
ちょうど、看護婦さんが一人やめてしまったらしいの。」

「そうか、それならクロワさんにぴったりだな!
しかし、よくそんなものが見つかったな!」

「たまたま貼り紙を見つけたのよ。」

その時、私達はクロワが診療所に行ったことも、話の流れから、ここでしばらく働いてもらえないかと医師に持ちかけられたことも、もちろん知らなかった。



「マルタン、俺達も早く働き口を探さないといけないな。
出来れば、宿や食事も付いてる所だと助かるんだけどなぁ…
そういえば、クロワさんは診療所に住めるのか?」

「まだ詳しいことは聞いてないのよ。
また明日、聞いてみるわ。」







その日は、多少疲れていたこともあり、職探しは次の日からということになった。
出かけることもせずゆっくりと宿で寛ぎ、夕食後は、いつものように酒を飲みながら、三人で他愛無い話をしていた。



「ここは、大きな町の割にはなんだか静かだな。」

「そうだな。」

彼の言う通りだった。
診療所からこの宿へのほんの短い距離しか歩いていなかったので、町の様子はよくわからないが
宿自体も、隣の部屋の物音一つ聞こえない。



「そういえば、あの診療所やここもけっこう立派な建物だよな。」

「そうだな。」

「なんだよ、マルタン、さっきからそればっかりじゃないか。」

「すまない、リュック…
さっきからどうにも眠くてな…」

「本当にマルタンは夜には弱いんだから…」

「君達が強過ぎるんだ。」



本当に彼らは夜更かしだ。
今でもとても敵わない。
私は先に休むことにした。
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