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ルカ(聖夜月ルカ)

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092 : 先人の知恵

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 「さ、行こうか…」

「マルタン、今日はえらく早起きじゃないか!」

「そうさ、いいかげん、身体を動かさないと、最近どうもおかしな所に贅肉がついててな…」

「当たり前だ。
あんなにたくさん食べてるのに、寝てばっかりだったんだからな。」

「このくらい、すぐに落としてみせるさ。」

「おっ!昨日までのマルタンとはえらい違いだな!
よしっ!思いっきりこき使ってやるから、覚悟しとけよ!」

「君こそ、頑張りすぎてそのくっついたばかりのあばら骨がまた折れないように気をつけろよ!」

「なんだと~!」



こんな軽口がたたけるようになったのも、リュックのおかげだ。
彼の言葉が私の女々しい横っ面を思いっきりひっぱたいてくれたおかげで、私はやっと悲しみの泥沼から這い出ることが出来たのだ。







「おやまぁ、本当に始めるのかい?
あんなの気にしなくて良いんだよ。」

「そうはいかないさ。
さんざん世話になった上に、部屋の中をめちゃめちゃにしてほったらかしなんてな、マルタン。」

「その通りです。
それに、このリュックは見掛けに寄らず大工仕事がうまいんですよ。
まかせといて下さい。」

「見掛けに寄らずってのは余計だぜ!」

私達は、早速、部屋の修理にとりかかった。
粗方片付けられてはいたが、壁と衣裳箪笥の扉には穴が開き、窓ガラスは割れていた。
この町にはガラス屋がないとのことで、クロワが舟に乗り収穫祭のあの町まで買いに行く事になった。



「えらく大事になってしまったね。
なんだか申し訳ないね。」

「何言ってんだよ。
申し訳ないのはこっちの方さ。
ついでに他にも直すものがあれば言ってくれよ。」

「本当に良いのかい?
実は、うちの男達はこういう仕事はからっきしダメでね…
助かるよ。
裏口の戸も開かなくなってるんだけど、それもなんとかなるかい?」

「あぁ、そんなことならすぐ出来るさ。」

二人で一生懸命働いたおかげで、ほとんどの作業がその日のうちにすんでしまった。
後は、クロワがガラスを持って来るのを待つだけだ。



「今夜は、ひさしぶりにうちで食べてお行きよ。
あんなに働いてもらったんだ。
それに、クロワさんが出かけてるんじゃ、食事の用意も出来てないだろ?
そういえば、もうじきクロワさんも帰って来るはずだよ。」

私達は、マギーの申し出を受けることにした。 
 
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