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090 : 昔日の涙
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「だけど、この町には宿なんてないみたいだしな。」
「教会もここのはごく小さいですから、三人住ませてほしいなんて言っても無理でしょうね…」
「困りましたね。どうしましょう?」
「では、お隣のパスカルさんの家に住まわせてもらうのはどうでしょう?」
クロワの思いがけないその言葉に、私は息を飲んだ。
今でも、パスカルの名を耳にするだけで心がざわめく。
隣の家もなるべく見ないようにしていた。
私はまだ怖かったのだ。
彼らと向き合う事が…
しかし、今はそんなことを言っている場合ではないのかもしれない。
一人で行くわけではないのだから、きっと大丈夫だ。
行ってみれば、意外となんでもないかもしれない。
彼らが命を断ったその場所で、彼らに詫びよう…
赦してもらえないことはわかっていたが、心の想いをすべて吐き出してしまいたかった。
私達はマギーにそのことを話した。
「私達のことなら本当に気を遣わなくて良いんだよ。
でも、あんた達が来てくれたら、パスカルさん達も喜びそうだよ。
あの人達がここに越して来てから、パスカルさんの家を訪ねた人は誰もいなかったからね。」
そんな話をしながら、マギーはパスカルの家へ案内してくれた。
案内をしてもらわなくとも、彼女の家からそこは見えていた。
家の鍵でも預かっているのかと思ったが、隣の家は鍵も開いたままだった。
「この町には悪いことをする人なんていないからね。
鍵なんて、必要ないんだよ。」
パスカル家は三人暮らしにちょうど良い大きさでまだ新しいような家だった。
日当たりが良く風がよく通り、庭には色とりどりの花々が咲き乱れていた。
手入れをする者がいなくなったというのに、庭の花は皆、生き生きとしており、この家のどこにも暗い影は感じられなかった。
今にも玄関の扉が開き、部屋の中から笑顔のパスカルが私達を出迎えてくれそうな気がした。
「教会もここのはごく小さいですから、三人住ませてほしいなんて言っても無理でしょうね…」
「困りましたね。どうしましょう?」
「では、お隣のパスカルさんの家に住まわせてもらうのはどうでしょう?」
クロワの思いがけないその言葉に、私は息を飲んだ。
今でも、パスカルの名を耳にするだけで心がざわめく。
隣の家もなるべく見ないようにしていた。
私はまだ怖かったのだ。
彼らと向き合う事が…
しかし、今はそんなことを言っている場合ではないのかもしれない。
一人で行くわけではないのだから、きっと大丈夫だ。
行ってみれば、意外となんでもないかもしれない。
彼らが命を断ったその場所で、彼らに詫びよう…
赦してもらえないことはわかっていたが、心の想いをすべて吐き出してしまいたかった。
私達はマギーにそのことを話した。
「私達のことなら本当に気を遣わなくて良いんだよ。
でも、あんた達が来てくれたら、パスカルさん達も喜びそうだよ。
あの人達がここに越して来てから、パスカルさんの家を訪ねた人は誰もいなかったからね。」
そんな話をしながら、マギーはパスカルの家へ案内してくれた。
案内をしてもらわなくとも、彼女の家からそこは見えていた。
家の鍵でも預かっているのかと思ったが、隣の家は鍵も開いたままだった。
「この町には悪いことをする人なんていないからね。
鍵なんて、必要ないんだよ。」
パスカル家は三人暮らしにちょうど良い大きさでまだ新しいような家だった。
日当たりが良く風がよく通り、庭には色とりどりの花々が咲き乱れていた。
手入れをする者がいなくなったというのに、庭の花は皆、生き生きとしており、この家のどこにも暗い影は感じられなかった。
今にも玄関の扉が開き、部屋の中から笑顔のパスカルが私達を出迎えてくれそうな気がした。
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