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ルカ(聖夜月ルカ)

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090 : 昔日の涙

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「……それで…パスカルさん達はなぜ…」

「いつもは外で洗濯をしてる奥さんも数日みかけなくて、もしかしたら看病疲れで倒れでもしたんじゃないかって心配になって見に行ったんだよ。
そしたら、家に鍵はかかってなかった…
悪いと思いながらも心配になったから家の中に入って探してたんだ。
……そしたら、寝室で三人が並んで……
毒を飲んだようだったよ…可哀想に…
きっと、二人は娘さんを一人で逝かせることが出来なかったんだね…
だから、三人一緒に…」

女性は、エプロンで顔を覆い、嗚咽し始めた。




「……ジャクリーヌ達は…どんな顔をしてた…?
苦しんじゃいなかったか?」

「…血は吐いてたけど、不思議と安らかな死に顔だったよ…
きっと、娘さんの痛みや苦しみは死ぬ事でしか止められなかったんだろうね。
ちょっと見ない間に、娘さんはさらに痩せててね…骨と皮になってたよ…
あんな身体じゃ生きられるわけないさ。
きっと、あの子はとことんまで頑張ったんだよ。
頑張って頑張って…頑張り抜いたんだと思ったよ…」

「ば、ば、馬鹿野郎!!
そこまで頑張ったんなら…なんで、もう少しだけ頑張ってくれなかったんだよ!
あと少し待ってくれてたら…」

リュックもクロワも声をあげて泣き出した。
叫びとも言葉ともつかない声をあげて…



私は、その場から動けないでいた。



ジャクリーヌを…
そして、その両親を殺したのは私だ!
私が、あの石をユベールに渡していなければ、ジャクリーヌは…パスカル夫妻はきっと死ぬことはなかった。
今頃、皆で再会を喜び、笑顔で食卓を囲んでいただろう…
そして、あの石で彼女は健康を取り戻し、この先も幸せに生きられたはずなのだ…
あんな冷たい石の下に眠ることはなかったのだ…




「誰か…
誰か…私を殺してくれ!!
人殺しの私を殺してくれーーーー!!」




私は叫んだ。
血を吐くような声で…
天界の神に…そして、地の底に住まう悪しき者達に届けと…!






「……たのむ…
誰か…誰か、私を……」



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