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ルカ(聖夜月ルカ)

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079 : オアシスの村へ

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「しかし、狭いよなぁ…
ここに三人はけっこうきついな。
しかも、なんだ?これはこれでもベッドのつもりなのか?
ただの棚じゃないか。」

部屋には三段に積み重ねられたべッドと粗末な椅子と小さなテーブルがあるだけだった。



「このベッドじゃ足がはみ出しそうだな。」

「私、一番上にいきます。」

「一番上は、天井が間近だぜ。
大丈夫かい、クロワさん?」

「ええ、私が一番小柄だから、その方が良いでしょ。」

ベッドの割り当ても決まり、私達はその棚のようなベッドで眠りに就いた。







次の朝、外に出た私達はあたりの光景に目を丸くした。



「なんだ、これは…穴ぼこばっかりじゃないか!」


朝食を運んで来たアダムの妻に話を聞いてみると、やはりそれらは温泉を掘った名残だった。



「本当に温泉なんて出るのかねぇ…
こんなに掘っても出ないんじゃ、もう出ないんじゃないかねぇ…」

「そういえば、穴はこっちに集中してるみたいだな。
なんでだ?」

「あっちは…火薬庫があったあたりだからね…
あのあたりで死んだ人が一番多かったらしいんだよ。
もう骨もなにもかも溶けてなくなっちまってるだろうけど、万一出て来たら薄気味悪いじゃないか。
だから、皆、あの一帯には手を付けないんだよ。」

それは私達にとっては都合の良い話だった。
陽炎の化石が形成される可能性が一番強いと考えられる一帯が手付かずだったのだから。



朝食後、私とリュックは町へ道具を買い付けにいくことにした。
アダムに頼むといくら取られるかわからないからだ。
 第一、掘る道具がないのでは陽炎の化石を探すことは出来ない。
アダムの帰りをただ待っているだけなら、自分で買いに行った方がマシというものだ。
クロワは、足の事もあり、待っていてもらうことにした。

外では、数人の男達が早速つるはしをふるっていた。
「新入りか」という声が聞こえてきそうな視線を一瞬向けるだけで、男達は仕事に精を出していた。
私達も、彼らに、特に挨拶をする事もなく、そのまま町へ向かった。
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