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077 : 咆哮の獅子
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「ひどいじゃないか、マルタン!
俺達を置いて、一人で旅に出るなんて…
海底神殿のことを忘れたとでも言うのか!」
「リュック…すまなかった…」
「マルタンさん…ごめんなさい。」
「…なぜ、あなたが謝るのです?
酷いことをしたのは私の方だ…」
「お話は、すべてリュックから聞きました。」
「……リュックから…?」
どういうことかわからず、私はリュックの顔をみつめた。
「とりあえず、どこかに座って…っていっても、何もない所だな。
まぁ、いいさ。
ちょっと、ここに座ろうぜ。」
私達は、道の片隅に腰を降ろした。
「あんたに追い付くの、大変だったんだぜ。
クロワさん、足は大丈夫だったかい?」
「私は大丈夫だって言ったでしょう。
私は、身体だけは昔から丈夫なのよ。」
「そんなこと言ったって、ここまでかなり無理して来たからな。」
「なぜ、そんなことを…」
「今から話す所だ!」
リュックは私がいなくなってからのことをすべて話してくれた。
私が吐いた嘘の数々もそのほとんどが露呈されてしまっていた…
「そういうことだから、今までのことは、皆、水に流して、これからはまた新しい気持ちで一緒に旅を続けようぜ。」
「残念だが、それは無理だ…
私は取り返しのつかないことをしてしまった。
私のせいでジャ…」
「マルタンさん!!
そのことで良い話があるんです。」
そう言ってクロワがリュックの方を見ると、リュックは深く頷いた。
「そうなんだ!
実は、陽炎の化石があると思われる場所がこの先にあるんだ!」
「なんだって!?」
なんでも、リュックの話によると、この先にも陽炎の化石が作られる条件の揃った町があるということをフランクから聞いたそうだ。
「その町はもともと何もない所だったらしいんだが、花火職人が住み着いたことから、いつしか火花の町と呼ばれるようにまでなったらしいんだ。
なんでも、このあたりの土ん中には硝石とかいう火薬の原料が多く含まれてるらしいんだ。
それであちこちから、花火師や火薬作りの職人が集まって、やがて小さな町にまでなった。
ところが、ある時、事故は起こった。
火薬庫がなんらかの原因で爆発したんだ。
町は、爆音と共に燃えあがった。
その時に大勢の人々がその爆発で死んだって言うんだ。
次々と爆発するその音はまるで大きな獅子が吠えているようだったらしい。
ずっと先の町まで、その咆哮は響き渡って聞こえたそうだ。」
「ひどいじゃないか、マルタン!
俺達を置いて、一人で旅に出るなんて…
海底神殿のことを忘れたとでも言うのか!」
「リュック…すまなかった…」
「マルタンさん…ごめんなさい。」
「…なぜ、あなたが謝るのです?
酷いことをしたのは私の方だ…」
「お話は、すべてリュックから聞きました。」
「……リュックから…?」
どういうことかわからず、私はリュックの顔をみつめた。
「とりあえず、どこかに座って…っていっても、何もない所だな。
まぁ、いいさ。
ちょっと、ここに座ろうぜ。」
私達は、道の片隅に腰を降ろした。
「あんたに追い付くの、大変だったんだぜ。
クロワさん、足は大丈夫だったかい?」
「私は大丈夫だって言ったでしょう。
私は、身体だけは昔から丈夫なのよ。」
「そんなこと言ったって、ここまでかなり無理して来たからな。」
「なぜ、そんなことを…」
「今から話す所だ!」
リュックは私がいなくなってからのことをすべて話してくれた。
私が吐いた嘘の数々もそのほとんどが露呈されてしまっていた…
「そういうことだから、今までのことは、皆、水に流して、これからはまた新しい気持ちで一緒に旅を続けようぜ。」
「残念だが、それは無理だ…
私は取り返しのつかないことをしてしまった。
私のせいでジャ…」
「マルタンさん!!
そのことで良い話があるんです。」
そう言ってクロワがリュックの方を見ると、リュックは深く頷いた。
「そうなんだ!
実は、陽炎の化石があると思われる場所がこの先にあるんだ!」
「なんだって!?」
なんでも、リュックの話によると、この先にも陽炎の化石が作られる条件の揃った町があるということをフランクから聞いたそうだ。
「その町はもともと何もない所だったらしいんだが、花火職人が住み着いたことから、いつしか火花の町と呼ばれるようにまでなったらしいんだ。
なんでも、このあたりの土ん中には硝石とかいう火薬の原料が多く含まれてるらしいんだ。
それであちこちから、花火師や火薬作りの職人が集まって、やがて小さな町にまでなった。
ところが、ある時、事故は起こった。
火薬庫がなんらかの原因で爆発したんだ。
町は、爆音と共に燃えあがった。
その時に大勢の人々がその爆発で死んだって言うんだ。
次々と爆発するその音はまるで大きな獅子が吠えているようだったらしい。
ずっと先の町まで、その咆哮は響き渡って聞こえたそうだ。」
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