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075 : 嘘と約束 白いネコ
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フランクと会えたことで、オデットもずいぶんと安心したようだった。
私達はそのまま宿へ戻った。
「クロワさん、この前のことなんだけど…」
「あのことならもう良いのよ。
私も感情的になりすぎたわ、ごめんなさい。」
「いや、俺が悪かったんだ。」
「もう良いのよ。
私こそ勝手なことをしてしまって本当にごめんなさい…」
「じゃあ、またこれからは一緒に旅をしてくれるのか?」
「もちろんよ。」
その言葉に、リュックは安堵したようににっこりと微笑んだ。
「そうか、良かった…
それで…早速こんなことをいっちゃあ、また怒られそうなんだけど…」
「何?」
「俺、ユベールの事が気になるんだ。
様子をみるためにも、もう少しこの町にいたいんだけど良いかな?」
「そんなことなら問題ないわ。
私も、気になってるもの。
もうしばらくはこの町にいましょう。」
「そうか、助かるよ!
俺、宝石を掘る手伝いをしようかと思うんだ。
フランクさんもユベールの傍にいたいだろうし、その間、俺があの人の代わりに宝石を掘ろうかと…」
「それは良い!!
クロワさん、私達も一緒に掘りましょう!」
私はクロワに向かって片目をつぶってみせた。
「そうね!それは良い考えだわ!
そうしましょう!」
クロワは私の意図することをすぐに理解したようだった。
どうやって、リュックに気付かれないように、陽炎の化石探しをしようかと考えていた所へ、思わぬ幸運が舞いこんだのだ。
これで、リュックに気付かれることなく、陽炎の化石を探すことが出来る。
*
次の朝、つるはしやシャベルを調達し、早速、私達はあの場所へ出かけた。
「クロワさん、宿屋の主人には発掘って言ったのか?」
「え…ええ…
なんかその方がインテリっぽくて素敵じゃない?」
「俺はどう見てもインテリって柄じゃないよ。
マルタンなら…いや、マルタンでもインテリって風じゃないな。
でも、クロワさんも意外とそんなこと気にするんだな。」
「良いじゃない。
たまにはそんなことも言ってみたいのよ。」
診療所にも立ち寄ったが、ユベールの容態は相変わらず小康状態といったものだった。
私達が、フランクの代わりに宝石を掘りに行くと言うと、彼らはそんなことはしなくても良いと、とても恐縮した様子だったが、私とクロワには真の目的がある。
当然、やめることは出来ないのだ。
私達はそのまま宿へ戻った。
「クロワさん、この前のことなんだけど…」
「あのことならもう良いのよ。
私も感情的になりすぎたわ、ごめんなさい。」
「いや、俺が悪かったんだ。」
「もう良いのよ。
私こそ勝手なことをしてしまって本当にごめんなさい…」
「じゃあ、またこれからは一緒に旅をしてくれるのか?」
「もちろんよ。」
その言葉に、リュックは安堵したようににっこりと微笑んだ。
「そうか、良かった…
それで…早速こんなことをいっちゃあ、また怒られそうなんだけど…」
「何?」
「俺、ユベールの事が気になるんだ。
様子をみるためにも、もう少しこの町にいたいんだけど良いかな?」
「そんなことなら問題ないわ。
私も、気になってるもの。
もうしばらくはこの町にいましょう。」
「そうか、助かるよ!
俺、宝石を掘る手伝いをしようかと思うんだ。
フランクさんもユベールの傍にいたいだろうし、その間、俺があの人の代わりに宝石を掘ろうかと…」
「それは良い!!
クロワさん、私達も一緒に掘りましょう!」
私はクロワに向かって片目をつぶってみせた。
「そうね!それは良い考えだわ!
そうしましょう!」
クロワは私の意図することをすぐに理解したようだった。
どうやって、リュックに気付かれないように、陽炎の化石探しをしようかと考えていた所へ、思わぬ幸運が舞いこんだのだ。
これで、リュックに気付かれることなく、陽炎の化石を探すことが出来る。
*
次の朝、つるはしやシャベルを調達し、早速、私達はあの場所へ出かけた。
「クロワさん、宿屋の主人には発掘って言ったのか?」
「え…ええ…
なんかその方がインテリっぽくて素敵じゃない?」
「俺はどう見てもインテリって柄じゃないよ。
マルタンなら…いや、マルタンでもインテリって風じゃないな。
でも、クロワさんも意外とそんなこと気にするんだな。」
「良いじゃない。
たまにはそんなことも言ってみたいのよ。」
診療所にも立ち寄ったが、ユベールの容態は相変わらず小康状態といったものだった。
私達が、フランクの代わりに宝石を掘りに行くと言うと、彼らはそんなことはしなくても良いと、とても恐縮した様子だったが、私とクロワには真の目的がある。
当然、やめることは出来ないのだ。
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