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ルカ(聖夜月ルカ)

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071 : 顔のない天使

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やはりクロワも私と同じ事を感じていたようだ。

先程、宿屋の主人の言った通り、ただ、見に行く価値のないつまらないものだということなのか、それとも、その他になにかがあるのか…

クロワに返事をしようとしていたその時、階段を上る音が聞こえてきたので、私はそのまま素早く部屋に戻った。



「なんだ…まだ起きてたのか…」

「あぁ、疲れてるのになんだか眠れなくてな。」

「あんたも飲みに来れば良かったのに…」

「そうだな。
でも、もういいかげん眠れると思う。」

「そうか…俺も眠くなって来たよ。」

そう言って、ベッドに横になったリュックはすぐに規則正しい寝息を立て始めた。
昨夜もきっとほとんど眠ってはいなかったのだろう…
せめて、彼が良い夢を見られますように…と、祈りながら、私も眠りに就いた。







それからの旅も順調だった。
十日程が経ち、やっと私達は女神像があるとされた町に辿り着いた。



「ここか…
思ったよりも遠かったなぁ…」

「そうだな、でも、ついにここまで来たんだ。
早速、祠の場所を聞いてみよう。」

そこらを通りがかった一人の男に、リュックが声をかけた。




「この町に、女神像の祠があるって聞いたんだけど、どこにあるんだ?」

「女神像?
あんたら、あんなものを見に来たのか、もの好きだなぁ…
祠なら、あの裏山にあるが、ずいぶんと辺鄙な所だぜ。」

そう言いながら男は、リュックに祠の場所を教えていた。
男に教えてもらった山は、ふだんは人が通る事もめったにないのか、道らしい道すらなかった。
かろうじて歩ける道を私達は登って行く。



「リュック、本当にこっちであってるのか?」

「あの男が言ってた目印の大きな木があれだと思うんだ。
だから、このまま進めば良いんだと思うが…
確かにひどい道だな。」

「道なんてものはないぞ。」

「とにかく行ってみましょう!」

山の頂上近くに、一本だけ抜きん出て背の高い木があった。
私達は、その木を目指しながら、汗を流し息を切らして、ひたすらに登った。



「あ!あれじゃないかしら?」


クロワが指差した先に、古ぼけた小さな祠がぽつんと建っていた。


 
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