472 / 641
071 : 顔のない天使
4
しおりを挟む
やはりクロワも私と同じ事を感じていたようだ。
先程、宿屋の主人の言った通り、ただ、見に行く価値のないつまらないものだということなのか、それとも、その他になにかがあるのか…
クロワに返事をしようとしていたその時、階段を上る音が聞こえてきたので、私はそのまま素早く部屋に戻った。
「なんだ…まだ起きてたのか…」
「あぁ、疲れてるのになんだか眠れなくてな。」
「あんたも飲みに来れば良かったのに…」
「そうだな。
でも、もういいかげん眠れると思う。」
「そうか…俺も眠くなって来たよ。」
そう言って、ベッドに横になったリュックはすぐに規則正しい寝息を立て始めた。
昨夜もきっとほとんど眠ってはいなかったのだろう…
せめて、彼が良い夢を見られますように…と、祈りながら、私も眠りに就いた。
*
それからの旅も順調だった。
十日程が経ち、やっと私達は女神像があるとされた町に辿り着いた。
「ここか…
思ったよりも遠かったなぁ…」
「そうだな、でも、ついにここまで来たんだ。
早速、祠の場所を聞いてみよう。」
そこらを通りがかった一人の男に、リュックが声をかけた。
「この町に、女神像の祠があるって聞いたんだけど、どこにあるんだ?」
「女神像?
あんたら、あんなものを見に来たのか、もの好きだなぁ…
祠なら、あの裏山にあるが、ずいぶんと辺鄙な所だぜ。」
そう言いながら男は、リュックに祠の場所を教えていた。
男に教えてもらった山は、ふだんは人が通る事もめったにないのか、道らしい道すらなかった。
かろうじて歩ける道を私達は登って行く。
「リュック、本当にこっちであってるのか?」
「あの男が言ってた目印の大きな木があれだと思うんだ。
だから、このまま進めば良いんだと思うが…
確かにひどい道だな。」
「道なんてものはないぞ。」
「とにかく行ってみましょう!」
山の頂上近くに、一本だけ抜きん出て背の高い木があった。
私達は、その木を目指しながら、汗を流し息を切らして、ひたすらに登った。
「あ!あれじゃないかしら?」
クロワが指差した先に、古ぼけた小さな祠がぽつんと建っていた。
先程、宿屋の主人の言った通り、ただ、見に行く価値のないつまらないものだということなのか、それとも、その他になにかがあるのか…
クロワに返事をしようとしていたその時、階段を上る音が聞こえてきたので、私はそのまま素早く部屋に戻った。
「なんだ…まだ起きてたのか…」
「あぁ、疲れてるのになんだか眠れなくてな。」
「あんたも飲みに来れば良かったのに…」
「そうだな。
でも、もういいかげん眠れると思う。」
「そうか…俺も眠くなって来たよ。」
そう言って、ベッドに横になったリュックはすぐに規則正しい寝息を立て始めた。
昨夜もきっとほとんど眠ってはいなかったのだろう…
せめて、彼が良い夢を見られますように…と、祈りながら、私も眠りに就いた。
*
それからの旅も順調だった。
十日程が経ち、やっと私達は女神像があるとされた町に辿り着いた。
「ここか…
思ったよりも遠かったなぁ…」
「そうだな、でも、ついにここまで来たんだ。
早速、祠の場所を聞いてみよう。」
そこらを通りがかった一人の男に、リュックが声をかけた。
「この町に、女神像の祠があるって聞いたんだけど、どこにあるんだ?」
「女神像?
あんたら、あんなものを見に来たのか、もの好きだなぁ…
祠なら、あの裏山にあるが、ずいぶんと辺鄙な所だぜ。」
そう言いながら男は、リュックに祠の場所を教えていた。
男に教えてもらった山は、ふだんは人が通る事もめったにないのか、道らしい道すらなかった。
かろうじて歩ける道を私達は登って行く。
「リュック、本当にこっちであってるのか?」
「あの男が言ってた目印の大きな木があれだと思うんだ。
だから、このまま進めば良いんだと思うが…
確かにひどい道だな。」
「道なんてものはないぞ。」
「とにかく行ってみましょう!」
山の頂上近くに、一本だけ抜きん出て背の高い木があった。
私達は、その木を目指しながら、汗を流し息を切らして、ひたすらに登った。
「あ!あれじゃないかしら?」
クロワが指差した先に、古ぼけた小さな祠がぽつんと建っていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
【二章完結】ヒロインなんかじゃいられない!!男爵令嬢アンジェリカの婿取り事情
ayame
ファンタジー
気がつけば乙女ゲームとやらに転生していた前世アラサーの私。しかもポジションはピンクの髪のおバカなヒロイン。……あの、乙女ゲームが好きだったのは私じゃなく、妹なんですけど。ゴリ押ししてくる妹から話半分に聞いていただけで私は門外漢なんだってば! え?王子?攻略対象?? 困ります、だって私、貧乏男爵家を継がなきゃならない立場ですから。嫁になんか行ってられません、欲しいのは従順な婿様です! それにしてもこの領地、特産品が何もないな。ここはひとつ、NGO職員として途上国支援をしてきた前世の知識を生かして、王国一の繁栄を築いてやろうじゃないの!
男爵家に引き取られたヒロインポジの元アラサー女が、恋より領地経営に情熱を注ぐお話。(…恋もたぶんある、かな?)
※現在10歳※攻略対象は中盤まで出番なし※領地経営メイン※コメ返は気まぐれになりますがそれでもよろしければぜひ。
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜
メーギ・F・ツネコ
ファンタジー
私はアサシン。
てんこ盛りおっぱいに憧れるペチャパイアサシン。
私は拾われた先が暗殺者組織だったからねぇ…毎日毎日厳しい訓練してたんだ。
だからついてほしい脂肪は消費されること消費されること…。
正直、無理な夢だと思ってた。
でも、ある日。
組織のブラックっぷりにキレて反逆し、ラスボスと刺し違えた後。
…転生しました。イヤマジで。
これはチャ〜ンス♪
巨乳にいたるノウハウは研究済み!さあ、頑張っておっぱい育てて!
ビキニで胸ゆっさゆっさ揺らすんだ〜!
え?ビキニがない?
ならビキニアーマーがあるじゃないか!
この物語は。
巨乳とビキニアーマーを求めて旅をする元アサシンの物語です。
【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。
紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。
アルファポリスのインセンティブの仕組み。
ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。
どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。
実際に新人賞に応募していくまでの過程。
春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
実家を追放された名家の三女は、薬師を目指します。~草を食べて生き残り、聖女になって実家を潰す~
juice
ファンタジー
過去に名家を誇った辺境貴族の生まれで貴族の三女として生まれたミラ。
しかし、才能に嫉妬した兄や姉に虐げられて、ついに家を追い出されてしまった。
彼女は森で草を食べて生き抜き、その時に食べた草がただの草ではなく、ポーションの原料だった。そうとは知らず高級な薬草を食べまくった結果、体にも異変が……。
知らないうちに高価な材料を集めていたことから、冒険者兼薬師見習いを始めるミラ。
新しい街で新しい生活を始めることになるのだが――。
新生活の中で、兄姉たちの嘘が次々と暴かれることに。
そして、聖女にまつわる、実家の兄姉が隠したとんでもない事実を知ることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる