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069 : 至福の喜び
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「ナディア、いるかい?」
「まぁ、リュックさん。
こんなに早くに発たれるんですか?」
「そうじゃないんだ。
マルタンが、出発は明日にしようって。
それで…今日は、あんたと過ごせって…」
「ほ、本当ですか?!
嬉しい!」
ナディアは思わずリュックの胸に飛び込んだ。
「おいおい、玄関先で、何、いちゃついてるんだ?!」
「あ…父さん…」
「あ…あぁ…ドニスさん、実は…」
「話は聞こえてたさ。
良かったな、ナディア。
今日はおもいっきり楽しんで来い!
なんなら、泊まって来ても良いんだぞ。」
「と、父さんったら、何言ってるのよ!」
「そうだ、リュック。
これは今まで働いてもらった分の賃金と、俺からの餞別だ。」
「いいよ。ちょっとしか働いてないし、勝手にやめるんだし…」
「まぁ、そういうな。
宝探しには金がかかるもんだ。
少しでもあった方が良いんだ。
気持ち良くとっとけ。」
「……そうか。
じゃあ、ありがたくもらっとくよ。
ありがとうよ!」
「リュックさん、ちょっと待ってて下さいね!
今、ランチを作って来ます。」
ナディアを待つ間、ドニスはリュックに静かに語りかけた。
「リュック、困ったことがあったら、必ずここへ帰って来るんだぜ。」
「ドニスさん…」
「海底神殿がみつかっても、みつからなくても…
なにかあったら俺のことを思い出せ。
俺にとっちゃ、お前は、ジャックやロイクと同じく息子のようなもんだからな。」
「ありがとう…こんな俺なんかにそこまで言ってくれるなんて…」
「馬鹿やろう!
お前は、あのナディアが婆さんになっても待つと言った程の男だぞ!
自信を持て!
おまえみたいな幸せな男はめったといないんだからな!」
「……確かにその通りだな。」
二人は顔を見合わせて笑った。
とても穏やかで幸せな笑顔を向け合って…
「リュックさん、お待たせしました!」
ナディアがバスケットを持って、走りこんで来た。
「ナディア、俺の分はないのか?」
「あ…ごめんなさい!!
父さんの分はすっかり忘れてました!」
ナディアは決まり悪そうに微笑んだ。
「なんてこった。おまえにはリュックしか見えてないんだな。
まぁ、良い。
じゃあ、行って来い!
ゆっくり楽しんで来るんだぞ!」
「はい、行って来ます!」
「ナディア、いるかい?」
「まぁ、リュックさん。
こんなに早くに発たれるんですか?」
「そうじゃないんだ。
マルタンが、出発は明日にしようって。
それで…今日は、あんたと過ごせって…」
「ほ、本当ですか?!
嬉しい!」
ナディアは思わずリュックの胸に飛び込んだ。
「おいおい、玄関先で、何、いちゃついてるんだ?!」
「あ…父さん…」
「あ…あぁ…ドニスさん、実は…」
「話は聞こえてたさ。
良かったな、ナディア。
今日はおもいっきり楽しんで来い!
なんなら、泊まって来ても良いんだぞ。」
「と、父さんったら、何言ってるのよ!」
「そうだ、リュック。
これは今まで働いてもらった分の賃金と、俺からの餞別だ。」
「いいよ。ちょっとしか働いてないし、勝手にやめるんだし…」
「まぁ、そういうな。
宝探しには金がかかるもんだ。
少しでもあった方が良いんだ。
気持ち良くとっとけ。」
「……そうか。
じゃあ、ありがたくもらっとくよ。
ありがとうよ!」
「リュックさん、ちょっと待ってて下さいね!
今、ランチを作って来ます。」
ナディアを待つ間、ドニスはリュックに静かに語りかけた。
「リュック、困ったことがあったら、必ずここへ帰って来るんだぜ。」
「ドニスさん…」
「海底神殿がみつかっても、みつからなくても…
なにかあったら俺のことを思い出せ。
俺にとっちゃ、お前は、ジャックやロイクと同じく息子のようなもんだからな。」
「ありがとう…こんな俺なんかにそこまで言ってくれるなんて…」
「馬鹿やろう!
お前は、あのナディアが婆さんになっても待つと言った程の男だぞ!
自信を持て!
おまえみたいな幸せな男はめったといないんだからな!」
「……確かにその通りだな。」
二人は顔を見合わせて笑った。
とても穏やかで幸せな笑顔を向け合って…
「リュックさん、お待たせしました!」
ナディアがバスケットを持って、走りこんで来た。
「ナディア、俺の分はないのか?」
「あ…ごめんなさい!!
父さんの分はすっかり忘れてました!」
ナディアは決まり悪そうに微笑んだ。
「なんてこった。おまえにはリュックしか見えてないんだな。
まぁ、良い。
じゃあ、行って来い!
ゆっくり楽しんで来るんだぞ!」
「はい、行って来ます!」
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