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ルカ(聖夜月ルカ)

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069 : 至福の喜び

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次の日の仕事は、今までとは比べ物にならないほど楽なものだった。



「おい、マルタン、今日はどうなってるんだろうな?
やけに暇だと思わないか?」

「そうだな。
一体、どうしたんだろうな?」

リュックは、昨夜、全てを私に打ち明けたことで気分が楽になったのか、すっかりいつも通りの彼に戻っていた。



夕食の時間になって、やっと仕事が暇になった理由がわかることとなった。



「あんた達は、本当によくやってくれるな。
今まで、一週間どころか3日ももった奴はいないんだ。
酷い奴なんて、一日ももたずに帰っちまった。」

「そりゃあ、あんなにきつい仕事じゃあ、皆が音を上げるのも無理はない。
でも、今日はどうしてこんなに楽だったんだ?」

リュックのその言葉に、ナディアとドニスは顔を見合わせて微笑んでいた。




「何、笑ってんだよ?」

「リュックさん…実は、父さんは新しく入った人には特別無理なことをさせてたんですよ。」

「なんだって~?」

「今まで、ナディア目当てにやって来る奴が多くてな。
動機はともかく、あの仕事に三日でももったら、そこそこ骨のある奴だってことがわかる。
そういう奴なら、ナディアに近付くこと位は許してやろうと考えてたんだが、誰もいなかった。
本当にここいらの野郎共は腑抜けばっかりだ!」

「おいっ!
俺達は、ここに来たのも初めてなら、あんたに娘がいることさえ知らなかったんだぞ。
それなら、そんなきつい仕事をさせて俺達を試すような真似、する必要がないじゃないか!」

「それはそうだが、ここで働くようになって、ナディアを見ればきっとそんな気になるはずだ!
なんたって、ナディアはこれだけのべっぴんだからな!
あんただって、ナディアのことが気になってるんだろう?」

ドニスの率直過ぎる物言いにリュックは何も言えず、ただ赤くなるだけだった。



「おおっ!…そんなに赤くなって…
あんたが、そんなに純情だとは思わなかったな!」

ドニスは、大きな声で笑い始めた。



「う、う、うるせぇっ!!」

「父さんったら、失礼よ!」

そういうナディアも頬を赤く染め、とても初々しい。
リュックにもついに春が訪れたことを、私は嬉しく感じていた。 
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