448 / 641
069 : 至福の喜び
6
しおりを挟む
次の日の仕事は、今までとは比べ物にならないほど楽なものだった。
「おい、マルタン、今日はどうなってるんだろうな?
やけに暇だと思わないか?」
「そうだな。
一体、どうしたんだろうな?」
リュックは、昨夜、全てを私に打ち明けたことで気分が楽になったのか、すっかりいつも通りの彼に戻っていた。
夕食の時間になって、やっと仕事が暇になった理由がわかることとなった。
「あんた達は、本当によくやってくれるな。
今まで、一週間どころか3日ももった奴はいないんだ。
酷い奴なんて、一日ももたずに帰っちまった。」
「そりゃあ、あんなにきつい仕事じゃあ、皆が音を上げるのも無理はない。
でも、今日はどうしてこんなに楽だったんだ?」
リュックのその言葉に、ナディアとドニスは顔を見合わせて微笑んでいた。
「何、笑ってんだよ?」
「リュックさん…実は、父さんは新しく入った人には特別無理なことをさせてたんですよ。」
「なんだって~?」
「今まで、ナディア目当てにやって来る奴が多くてな。
動機はともかく、あの仕事に三日でももったら、そこそこ骨のある奴だってことがわかる。
そういう奴なら、ナディアに近付くこと位は許してやろうと考えてたんだが、誰もいなかった。
本当にここいらの野郎共は腑抜けばっかりだ!」
「おいっ!
俺達は、ここに来たのも初めてなら、あんたに娘がいることさえ知らなかったんだぞ。
それなら、そんなきつい仕事をさせて俺達を試すような真似、する必要がないじゃないか!」
「それはそうだが、ここで働くようになって、ナディアを見ればきっとそんな気になるはずだ!
なんたって、ナディアはこれだけのべっぴんだからな!
あんただって、ナディアのことが気になってるんだろう?」
ドニスの率直過ぎる物言いにリュックは何も言えず、ただ赤くなるだけだった。
「おおっ!…そんなに赤くなって…
あんたが、そんなに純情だとは思わなかったな!」
ドニスは、大きな声で笑い始めた。
「う、う、うるせぇっ!!」
「父さんったら、失礼よ!」
そういうナディアも頬を赤く染め、とても初々しい。
リュックにもついに春が訪れたことを、私は嬉しく感じていた。
「おい、マルタン、今日はどうなってるんだろうな?
やけに暇だと思わないか?」
「そうだな。
一体、どうしたんだろうな?」
リュックは、昨夜、全てを私に打ち明けたことで気分が楽になったのか、すっかりいつも通りの彼に戻っていた。
夕食の時間になって、やっと仕事が暇になった理由がわかることとなった。
「あんた達は、本当によくやってくれるな。
今まで、一週間どころか3日ももった奴はいないんだ。
酷い奴なんて、一日ももたずに帰っちまった。」
「そりゃあ、あんなにきつい仕事じゃあ、皆が音を上げるのも無理はない。
でも、今日はどうしてこんなに楽だったんだ?」
リュックのその言葉に、ナディアとドニスは顔を見合わせて微笑んでいた。
「何、笑ってんだよ?」
「リュックさん…実は、父さんは新しく入った人には特別無理なことをさせてたんですよ。」
「なんだって~?」
「今まで、ナディア目当てにやって来る奴が多くてな。
動機はともかく、あの仕事に三日でももったら、そこそこ骨のある奴だってことがわかる。
そういう奴なら、ナディアに近付くこと位は許してやろうと考えてたんだが、誰もいなかった。
本当にここいらの野郎共は腑抜けばっかりだ!」
「おいっ!
俺達は、ここに来たのも初めてなら、あんたに娘がいることさえ知らなかったんだぞ。
それなら、そんなきつい仕事をさせて俺達を試すような真似、する必要がないじゃないか!」
「それはそうだが、ここで働くようになって、ナディアを見ればきっとそんな気になるはずだ!
なんたって、ナディアはこれだけのべっぴんだからな!
あんただって、ナディアのことが気になってるんだろう?」
ドニスの率直過ぎる物言いにリュックは何も言えず、ただ赤くなるだけだった。
「おおっ!…そんなに赤くなって…
あんたが、そんなに純情だとは思わなかったな!」
ドニスは、大きな声で笑い始めた。
「う、う、うるせぇっ!!」
「父さんったら、失礼よ!」
そういうナディアも頬を赤く染め、とても初々しい。
リュックにもついに春が訪れたことを、私は嬉しく感じていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかし、正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
10万字未満の中編予定です。投稿数は、最初、多めですが次第に勢いを失っていくことでしょう…。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
最弱最強の詐欺魔導師 本職はユーデューバー
昆布海胆
ファンタジー
観測者によって異世界に転移させられた少年『ナナシ』は観測者の登録している動画投稿サイト『ユーデューブ』に投稿する動画を作るために異世界での生活を頑張る!
RISING 〜夜明けの唄〜
Takaya
ファンタジー
戦争・紛争の収まらぬ戦乱の世で
平和への夜明けを導く者は誰だ?
其々の正義が織り成す長編ファンタジー。
〜本編あらすじ〜
広く豊かな海に囲まれ、大陸に属さず
島国として永きに渡り歴史を紡いできた
独立国家《プレジア》
此の国が、世界に其の名を馳せる事となった
背景には、世界で只一国のみ、そう此の
プレジアのみが執り行った政策がある。
其れは《鎖国政策》
外界との繋がりを遮断し自国を守るべく
百年も昔に制定された国家政策である。
そんな国もかつて繋がりを育んで来た
近隣国《バルモア》との戦争は回避出来ず。
百年の間戦争によって生まれた傷跡は
近年の自国内紛争を呼ぶ事態へと発展。
その紛争の中心となったのは紛れも無く
新しく掲げられた双つの旗と王家守護の
象徴ともされる一つの旗であった。
鎖国政策を打ち破り外界との繋がりを
再度育み、此の国の衰退を止めるべく
立ち上がった《独立師団革命軍》
異国との戦争で生まれた傷跡を活力に
革命軍の考えを異と唱え、自国の文化や
歴史を護ると決めた《護国師団反乱軍》
三百年の歴史を誇るケーニッヒ王家に仕え
毅然と正義を掲げ、自国最高の防衛戦力と
評され此れを迎え討つ《国王直下帝国軍》
乱立した隊旗を起点に止まらぬ紛争。
今プレジアは変革の時を期せずして迎える。
此の歴史の中で起こる大きな戦いは後に
《日の出戦争》と呼ばれるが此の物語は
此のどれにも属さず、己の運命に翻弄され
巻き込まれて行く一人の流浪人の物語ーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる