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069 : 至福の喜び
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(なんだ?こんなんで酒を売ってる店なんてあるのか?)
通りの店は、皆、休みでしんと静まり返っていた。
(そういやあ、薬屋も休みだったよな。
俺達も休みだし、今日は開いてる店なんてないんじゃないか?
クロワさんもとぼけたことを言ってくれるぜ。)
リュックは、今来た道を引き返そうかとも考えたが、あと少しだけ開いている店を探してみることにした。
しかし、どこにも開いている店などみつからないままに商店街は終わってしまった。
(チェッ…無駄足だったか…)
今度こそ引き返そうと考えながら、リュックはふと、あることを思い出し、商店街の外の道へ踏み出した。
(そういやぁ、この町に着いてから、この商店街しか通ったことなかったな。
すぐに農場に連れていかれて、あとは店と港だけしか行ってないんだもんな。
ここ以外にも、もしかしたら店があるのかもしれないぞ。)
しかし、あたりには畑や民家が立ち並ぶだけで、店らしきものはどこにも見当たらなかった。
(なんだ…やっぱり、店はあの一帯に集まってるのか…
ん…?あれは…?)
リュックは、畑のそばに見覚えのある姿を捉えた。
太陽の日差しを浴びて、きらきらと輝くしなやかな長い金の髪…
「ナディア!」
リュックの呼び声に振り返ったその顔は、紛れもなくナディアの美しい顔だった。
少し驚いたようなその表情が、みるみる笑顔に変わっていく。
「リュックさん!どうしてここへ?」
リュックは、ナディアの傍へ駆け寄った。
部屋の中で見ている時よりもナディアの肌は白く透き通り、唇はふくよかで赤く、いつもにも増して美しく見えた。
「あ…ちょっとな、このあたりを散歩してたんだ。
それより、あんたこそ、こんな所で何してるんだ?」
「何って…私もお散歩よ。」
「たった一人でか?」
「ええ…私…あんまりお友達がいないから…」
「なるほど、わかった!親父さんのせいだな!
確かに、あんな親父さんがいたんじゃ、おそろしくて誰も声なんてかけられないな。」
ナディアはその言葉にただ微笑むだけだった
(なんだ?こんなんで酒を売ってる店なんてあるのか?)
通りの店は、皆、休みでしんと静まり返っていた。
(そういやあ、薬屋も休みだったよな。
俺達も休みだし、今日は開いてる店なんてないんじゃないか?
クロワさんもとぼけたことを言ってくれるぜ。)
リュックは、今来た道を引き返そうかとも考えたが、あと少しだけ開いている店を探してみることにした。
しかし、どこにも開いている店などみつからないままに商店街は終わってしまった。
(チェッ…無駄足だったか…)
今度こそ引き返そうと考えながら、リュックはふと、あることを思い出し、商店街の外の道へ踏み出した。
(そういやぁ、この町に着いてから、この商店街しか通ったことなかったな。
すぐに農場に連れていかれて、あとは店と港だけしか行ってないんだもんな。
ここ以外にも、もしかしたら店があるのかもしれないぞ。)
しかし、あたりには畑や民家が立ち並ぶだけで、店らしきものはどこにも見当たらなかった。
(なんだ…やっぱり、店はあの一帯に集まってるのか…
ん…?あれは…?)
リュックは、畑のそばに見覚えのある姿を捉えた。
太陽の日差しを浴びて、きらきらと輝くしなやかな長い金の髪…
「ナディア!」
リュックの呼び声に振り返ったその顔は、紛れもなくナディアの美しい顔だった。
少し驚いたようなその表情が、みるみる笑顔に変わっていく。
「リュックさん!どうしてここへ?」
リュックは、ナディアの傍へ駆け寄った。
部屋の中で見ている時よりもナディアの肌は白く透き通り、唇はふくよかで赤く、いつもにも増して美しく見えた。
「あ…ちょっとな、このあたりを散歩してたんだ。
それより、あんたこそ、こんな所で何してるんだ?」
「何って…私もお散歩よ。」
「たった一人でか?」
「ええ…私…あんまりお友達がいないから…」
「なるほど、わかった!親父さんのせいだな!
確かに、あんな親父さんがいたんじゃ、おそろしくて誰も声なんてかけられないな。」
ナディアはその言葉にただ微笑むだけだった
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