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068 : 下町の華
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次の日は、朝早くにドニスに叩き起こされ、昨日以上にこき使われた。
畑の作物の世話、収穫、そしてそれらを店と港へ運ぶ。
リュックと話をする暇さえなかった。
こんなきつい仕事だというのに、リュックはいやな顔一つせず、いや、むしろとても晴れやかな顔をしているようにも見えた。
「今日は昨日以上にきつかったな…
こんな調子で続くんだろうか…」
「身体が慣れたら、そんなにたいしたことはないさ。
今が一番辛く感じる時期なだけさ。」
小屋に戻り、つい、そんな弱音を吐いてしまった私に、リュックはそうさらっと言ってのけた。
「さ、早く行こうぜ!
風呂に入って、飯を食べればまた元気も出て来るさ!」
リュックは上機嫌で鼻歌を歌っている。
ドニスの屋敷に着くと、若く美しい娘が出迎えてくれた。
それはドニスの娘・ナディアだった。
「お疲れ様でした!」
「や、やぁ…」
リュックの頬がほんのりと赤らんでいる。
それを見た時、リュックの元気の原因が私にもはっきりとわかった。
食事中もリュックは何度もナディアの方をみつめている。
顔は、始終微笑みっぱなし…鼻の下が伸びきっていた。
そんな態度は、ドニスにもわからないはずがない。
「おい!リュック!
ナディアに変なことしたら承知しないからな!」
「な、な、何言ってるんだ!
お、お、俺がなにをするって言うんだ!
俺は、別に…」
「おまえ、さっきから、ナディアのことばっかり見てるじゃないか!
こいつは、この通りべっぴんだからおまえが気にするのも仕方ない事だが、ナディアは俺の宝物だ。
俺が見こんだ男じゃないと、絶対に渡さねぇ!
こいつにおかしな真似しやがったら、俺が許さないからな!
命はないものと思え!」
「父さんったら…」
ナディアは父親の言葉に苦い笑みを浮かべた。
「そういえば、あんた、奥さんはいないのか?」
「……妻は、こいつがまだ小さい頃に出て行った。
こんな地味できつい仕事は嫌だと言ってな…」
「そうか、それからあんたは男手一つで、子供を育てて来たんだな。」
「ま、そういう事だ。
今にして思えば、確かに俺も悪かったんだ。
こいつの母親は、お嬢さん育ちで身体もそんなに丈夫じゃなかった…
それなのに、俺と同じように働かせようとしたからな…
きっと、あいつも限界だったんだ。
愛想をつかされるのも無理はないってことだな。」
畑の作物の世話、収穫、そしてそれらを店と港へ運ぶ。
リュックと話をする暇さえなかった。
こんなきつい仕事だというのに、リュックはいやな顔一つせず、いや、むしろとても晴れやかな顔をしているようにも見えた。
「今日は昨日以上にきつかったな…
こんな調子で続くんだろうか…」
「身体が慣れたら、そんなにたいしたことはないさ。
今が一番辛く感じる時期なだけさ。」
小屋に戻り、つい、そんな弱音を吐いてしまった私に、リュックはそうさらっと言ってのけた。
「さ、早く行こうぜ!
風呂に入って、飯を食べればまた元気も出て来るさ!」
リュックは上機嫌で鼻歌を歌っている。
ドニスの屋敷に着くと、若く美しい娘が出迎えてくれた。
それはドニスの娘・ナディアだった。
「お疲れ様でした!」
「や、やぁ…」
リュックの頬がほんのりと赤らんでいる。
それを見た時、リュックの元気の原因が私にもはっきりとわかった。
食事中もリュックは何度もナディアの方をみつめている。
顔は、始終微笑みっぱなし…鼻の下が伸びきっていた。
そんな態度は、ドニスにもわからないはずがない。
「おい!リュック!
ナディアに変なことしたら承知しないからな!」
「な、な、何言ってるんだ!
お、お、俺がなにをするって言うんだ!
俺は、別に…」
「おまえ、さっきから、ナディアのことばっかり見てるじゃないか!
こいつは、この通りべっぴんだからおまえが気にするのも仕方ない事だが、ナディアは俺の宝物だ。
俺が見こんだ男じゃないと、絶対に渡さねぇ!
こいつにおかしな真似しやがったら、俺が許さないからな!
命はないものと思え!」
「父さんったら…」
ナディアは父親の言葉に苦い笑みを浮かべた。
「そういえば、あんた、奥さんはいないのか?」
「……妻は、こいつがまだ小さい頃に出て行った。
こんな地味できつい仕事は嫌だと言ってな…」
「そうか、それからあんたは男手一つで、子供を育てて来たんだな。」
「ま、そういう事だ。
今にして思えば、確かに俺も悪かったんだ。
こいつの母親は、お嬢さん育ちで身体もそんなに丈夫じゃなかった…
それなのに、俺と同じように働かせようとしたからな…
きっと、あいつも限界だったんだ。
愛想をつかされるのも無理はないってことだな。」
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