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064 : 治療不可能
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「旅が終わったらぜひ訪ねてみよう。」
「その頃は、ジャクリーヌももう誰かと結婚してるかもしれないな…
それとも、まだマルタンのことを想い続けているか…」
「若い女の子の気持ちは変わりやすいから、きっと私のことなんか忘れてるさ。」
「そうかなぁ…俺は…きっとその頃も一人なんだろうなぁ。」
「それはどうかな…先のことは誰にもわからないからな。」
「先のことがわかれば、もっと楽に生きられるんだろうけどな…」
「そうだろうか…
……もしも、この先にどうしようもなく辛い出来事が待ち構えてるとわかってしまえば…
私ならそこから踏み出す事が出来なくなってしまいそうだ。」
「だが、わかっていればそれを避けて進む事が出来るんじゃないか?
俺だって、小人のあの緑の玉でこんなことになるとわかっていたら、絶対に飲まなかった。
そしたら、今頃は俺も普通の人生を過ごして死んでただろうな…」
ぽつりと呟かれたその言葉は、私にはとても重く感じられた。
「わかっていても、それが避けられないとしたらどうだ?」
「……それは、地獄だな。」
「たとえば、この先で誰かに襲われて殺されるとわかっていてもその事実から避けられないとしたら…恐ろしいことだな。」
「あんたはそんな風に思ってるのか?
人間には運命みたいなものがあって、それは自分がどんなに逃れようとしても逃れられないものだと…」
「……私にはわからない。」
「そういうことは考えない方が良いぜ!
考えて答えの出ないことは、考えないに限る。
そうだ。先のことなんて、やっぱりわからない方が良いし、考えない方が良いんだ!
俺達には、海底神殿をみつけるって使命があるんだからそれだけを考えて、前に進めば良いんだ!」
「そうだな。…きっと、君の言う通りだ。」
ジャクリーヌが遠くに行った事で吹っ切れたのか、リュックはまた以前のリュックに戻ってくれたような気がした。
「その頃は、ジャクリーヌももう誰かと結婚してるかもしれないな…
それとも、まだマルタンのことを想い続けているか…」
「若い女の子の気持ちは変わりやすいから、きっと私のことなんか忘れてるさ。」
「そうかなぁ…俺は…きっとその頃も一人なんだろうなぁ。」
「それはどうかな…先のことは誰にもわからないからな。」
「先のことがわかれば、もっと楽に生きられるんだろうけどな…」
「そうだろうか…
……もしも、この先にどうしようもなく辛い出来事が待ち構えてるとわかってしまえば…
私ならそこから踏み出す事が出来なくなってしまいそうだ。」
「だが、わかっていればそれを避けて進む事が出来るんじゃないか?
俺だって、小人のあの緑の玉でこんなことになるとわかっていたら、絶対に飲まなかった。
そしたら、今頃は俺も普通の人生を過ごして死んでただろうな…」
ぽつりと呟かれたその言葉は、私にはとても重く感じられた。
「わかっていても、それが避けられないとしたらどうだ?」
「……それは、地獄だな。」
「たとえば、この先で誰かに襲われて殺されるとわかっていてもその事実から避けられないとしたら…恐ろしいことだな。」
「あんたはそんな風に思ってるのか?
人間には運命みたいなものがあって、それは自分がどんなに逃れようとしても逃れられないものだと…」
「……私にはわからない。」
「そういうことは考えない方が良いぜ!
考えて答えの出ないことは、考えないに限る。
そうだ。先のことなんて、やっぱりわからない方が良いし、考えない方が良いんだ!
俺達には、海底神殿をみつけるって使命があるんだからそれだけを考えて、前に進めば良いんだ!」
「そうだな。…きっと、君の言う通りだ。」
ジャクリーヌが遠くに行った事で吹っ切れたのか、リュックはまた以前のリュックに戻ってくれたような気がした。
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